このページではjavascriptを使用しています。JavaScriptが無効なため一部の機能が動作しません。
動作させるためにはJavaScriptを有効にしてください。またはブラウザの機能をご利用ください。

サイト内検索

美術館 > コレクション > 所蔵品解説 > コレクション オーディオガイド 伊藤小坡 《ふたば》A

伊藤小坡 《ふたば》

伊藤小坡 《ふたば》 母子が朝顔の苗を植える様子を描いた日本画 

1918(大正7)年/絹本著色/190.0×101.0cm
 
 着物を着た女性と幼い女の子が苗を植え替えています。小さな手にふたばを持つ女の子は女性を見上げ、何を話しているのでしょうか。
 作者の伊藤小坡は、三重県伊勢市の生まれ。歴史画を得意としましたが、大正時代には、女性の日常の一こまや母と子の何気ないやりとりなど、経験に基づく身近な生活を描き出し、高く評価されました。この作品も小坡とその三女がモデルです。
 ふたばが成長し、花開く日を心待ちにする娘と我が子の成長を願う母。慈愛に満ちた母のまなざしは、画家自身が娘に向けるまなざしと重なります。髪の生え際や顔の輪郭の墨色をぼかすことで、優しく穏やかな表情が描き出されています。絵具を盛り上げて赤いリボンの立体感を表し、岩絵具の粒子を活かしてざらっとした植木鉢の質感も再現しています。女の子の足元にもご注目ください。大きな下駄は、姿の見えない父親の存在を感じさせます。家族の肖像ともいうべきこの作品は、第12回文展に出品された小坡の代表作です。
 

ページID:000272995