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美術館 > コレクション > 所蔵品解説 > コレクション オーディオガイド 宇田荻邨 《祇園の雨》A

宇田荻邨 《祇園の雨》


1953(昭和28)年/絹本著色/97.9×117.0cm
 
 この作品の舞台は京都の祇園白川沿いです。祇園の街並みや雨に濡れる木々、背後にかすむ東山が、繊細な筆致と抑制された色彩で格調高く描き出されています。赤い蛇の目傘をさし、着物のすそを気にしつつ道を急ぐ女性の姿が、画面に一層の趣を添えています。
 作者の宇田荻邨は、三重県松阪市の生まれ。日本画を学ぶために17歳で京都に出てから、83歳で亡くなるまで、京都の風物を愛し、京都の四季を描き続けました。とくに祇園の情景は、絵の道に入ったころから晩年まで繰り返し描いています。写生帖にも祇園の街のスケッチは数多くのこっています。
 同時代の画家たちの作品や古い時代の絵画を幅広く研究しながら、荻邨は大きく画風を展開させていきました。戦後になると、奇をてらうことのない自然な構図で京都の風景と人々の営みを捉え、流れるような線描と洗練された色彩で静かな風格ある京都を描き出しました。第9回の日展に出品されたこの作品は、荻邨の代表作に数えられています。

 

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