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美術館 > コレクション > 所蔵品解説 > コレクション オーディオガイド 柳原義達《犬の唄》A

柳原義達《犬の唄》

柳原義達 《犬の唄》 片手を体の前にかかげて立つ女性のブロンズ彫刻

1961(昭和36)年/ブロンズ/153.0×62.0×62.0cm
 
 手をお腹の前に突き出して立つ女性をあらわした像です。二本の脚は地面をしっかりとふみつけ、恰幅のよい体をやや上向きにそらせる姿からは、堂々とした威厳が感じられます。
 この作品は、戦後日本を代表する彫刻家・柳原義達の作品です。「犬の唄」という変わったタイトルは、フランスの画家、エドガー・ドガの作品「カフェ=コンセール 犬の歌」にちなんでつけられました。ドガの作品には、夜のカフェで、犬がちんちんをする身振りをしながら歌うシャンソン歌手が描かれます。柳原は、1950年頃に知り合いから、この絵に描かれる歌手が普仏戦争に敗れたフランス人の抵抗精神を歌っていることを教えてもらいました。第二次世界大戦で弟を失い、戦後の火事でそれまでの作品すべてを焼失した経験があった柳原は、この絵に共感を持ち、レジスタンスの思いを込めて、自らも同じテーマに取り組むようになります。
 この作品では、女性は犬がちんちんをするように左手をお腹の前に突き出しながら、右手を体の後ろにまわしています。このポーズは一見相手におもねっているようでありながら、心の底に抵抗精神を秘めている状態を示しています。柳原の戦後の再出発を象徴する作品です。
 

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