このページではjavascriptを使用しています。JavaScriptが無効なため一部の機能が動作しません。
動作させるためにはJavaScriptを有効にしてください。またはブラウザの機能をご利用ください。

サイト内検索

美術館 > コレクション > 所蔵品解説 > コレクション オーディオガイド 藤田嗣治 《猫のいる自画像》 A

藤田嗣治 《猫のいる自画像》



1927(昭和2)年頃/油彩・キャンバス/54.3×45.5cm
 
 黒髪のおかっぱ頭をした人物が、頬杖をついてこちらを見つめています。本作は、画家・藤田嗣治によって制作された自画像です。1920年代に、アトリエを背景とした自画像を多く手掛け、本作もこの時期に制作された一点です。
 藤田は、東京美術学校を卒業後、フランスに渡って以来パリを拠点として活躍しました。本作が描かれた1920年代は「エコール・ド・パリ」と呼ばれた時代で、出身国も画風も様々な芸術家たちがパリに集まり活動しました。画壇の流行から刺激を受け、日本人画家であることを強く意識したのではないでしょうか。藤田は独自の表現技法である「乳白色の下地」を考案しました。日本の伝統的な素材である紙や絹の地肌を、西洋絵画の画材で表現し、日本的な画風を作り出しました。
 藤田の左肩にすり寄るようにこちらを覗く猫に注目してみましょう。藤田は「サインの代わりに猫を描くこともある」といい、飼い猫は分身のような存在だったことがうかがえます。目をむく猫は、お気に入りのトレードマークとして繰り返し藤田の作品に登場しました。
 
ページID:000272980