江口週《ふたたび翔べるか ―柱上の鳥》
1988(昭和63)年/木/444×52×60.5cm
約4.5メートルの高さを持つ、巨大な彫刻です。まっすぐ天に向かって伸びる柱のような形ですが、ところどころ四角形が飛び出したり、凹んだりしています。実はこの作品は柱にとまって空を見上げる鳥の姿を、抽象的な形であらわした作品です。天辺の尖った形が、空を見上げる鳥の頭となり、その下には張り出した胸が、側面には翼があるのがわかるでしょうか。鳥を正面から見た時、作品の中ほどに飛び出して見える小さな横長の長方形は、留まり木である柱をつかむ、鳥の脚を示しています。
この作品は、京都府出身の彫刻家江口週の作品です。長く木彫を制作してきた江口は、材料となる木を観察し、ノミで彫りながら作品のイメージをつかみました。空を見上げる鳥のモチーフも、以前所有していた、先端が曲がった木の形から考え出されています。木との対話から生まれた象徴的な姿が、観る者を圧倒する作品です。