児島善三郎《箱根》
1938(昭和13)年/油彩・キャンバス/131.0×163.0cm
縦131センチ、横163センチの横長の油絵です。観光地として名高い箱根の駒ケ岳や二子山、芦ノ湖を箱根峠付近から望んだ風景が描かれています。画面は大まかに4つの部分に分けられます。一番上には空、その下に山々、その下には芦ノ湖、一番下に湖の南側の陸地が描かれています。
鮮やかなセルリアンブルーの空の下には、起伏に富んだ、それでいて曲線的な山の稜線が、のびやかな茶色い線で描かれています。画面左の山間には赤みを帯びた白い雲がかかっています。空や湖の青、山々の茶色と緑のコントラストが鮮やかですが、使われている色の数は、決して多くありません。
斜面に生える木々は、点や短い線で簡略化されています。画面の右下の岸辺には遊覧船が停まり、その近くには大きな洋館が描かれています。