マルク・シャガール《枝》
1956-62年/油彩・キャンバス/150.0×120.0cm
縦150センチ、横120センチの縦長の油絵です。透明感あふれる青色を背景に、一組の男女が画面の右上と左下を結ぶ対角線上に描かれています。女性は白いドレスを身にまとい、白いヴェールをかぶっています。紫のジャケットを着た男性は女性に抱きかかえられています。二人の足は地面に着いておらず、宙に浮かんでいるようです。
画面の左上には、外側から赤、白、黄の輪を重ねた、円い形の天体が描かれています。天体のなかには、動物や笛を吹く人の横顔が見えます。天体の右下には、男女の上に覆いかぶさるように、木の枝が茂っています。赤い花が咲き乱れる枝には、鳥がとまっています。
画面の下半分に目を向けてみましょう。左下には、高い塔がそびえています。その隣に浮かぶのは、右側が大きく欠けた有明の月。塔の足元からは、画面右に向かって水平に橋が架かり、橋の上空には、宙に浮かぶ人の横顔や、宙返りをする人の姿も見られます。画面の右下には、壺に活けられた花と果物籠が描かれています。
この作品において、円い形の天体、一組の男女、右下の花の他は、ほとんどすべてが青色で描かれています。それでも、濃淡や色合いを少しずつ変えることで、画面に変化が生み出されています。