オーギュスト・ルノワール《青い服を着た若い女》

1876年頃／油彩・キャンバス／42.9×31.0cm

　縦42.9センチ、横31センチの縦長の油絵です。
　正面を向いた若い女性の、頭から胸までが画面に収められています。女性の黒髪は額のほぼ真ん中で分けられ、分け目から短い髪が、額に垂れています。 画面上には見えませんが、おそらく長い髪を頭の後ろでまとめているのでしょう。1本1本細い線で描かれた眉は黒く、目の輪郭にも、細くて黒い線が用いられています。黒々とした目には白い点でハイライトが施され、つややかな瞳に反射する光が表されています。唇は淡いピンク色です。
　眉や目、口はほぼ平行に描かれており、この表情から女性の感情を読み取ることは難しいかもしれません。肌は陶器のようになめらかで、白い皮膚の下に青やピンクが透け、血の通った様子が絵具で巧みに表現されています。
　モデルの女性は、先端を折り曲げた白い立襟のシャツに、黒いタイを蝶結びにして合わせています。タイトルには「青い服」とありますが、実際は濃紺に近い色合いの服です。女性の胸の辺りや、青みがかったグレーの背景は、筆のあとを残した粗いタッチで描かれています。