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美術館 > 刊行物 > 友の会だより > 2019 > ごあいさつ 友の会会員の皆様へ 友の会だより113号 2020.8

ごあいさつ 友の会会員の皆様へ

三重県立美術館館長 速水豊
 
 いつも美術館をご支援いただきありがとうございます。
 コロナウイルスによって世界がこれまで経験しなかった異常事態に陥り、皆様もそれぞれに様々な困難や不安のなかにいらっしゃることと存じます。
 美術館も前例のない臨時休館となり、数年かけて準備を進めてきた春と夏の2本の特別展が中止となりました。休館中も館職員は業務を行い、SNSやホームページの活用その他、状況に応じた活動も行いました。しかし、館員にとって、やはり来館いただけない美術館ほど寂しいものはなく悔しい思いでした。
 現在も活動は限定的ですが、展示は全面的に再開し、秋からは特別展も予定どおり開催すべく準備しています。多くの文化活動が自粛されているなか、美術に触れる機会を提供することは館の責務であり、皆様の、そして社会全体の精神的な回復に資するものと信じております。
 美術の鑑賞はさまざまな感動や発見、刺激や安らぎを与えてくれるものです。そして美術館はそれにふさわしく作られた場です。美術鑑賞とは根本的には自分と作品との1対1の対峙です。今、避けるべきとされる密な集まりや声をあげて騒ぐことは元来、美術鑑賞とも無縁であり、美術館はむしろ現在の状況にもふさわしい心の憩いの場となりうると私は思っています。
 ぜひまた美術館にお越しください。そして、展示室で作品と静かにゆっくりと向かいあう時間をもっていただきたく思います。その時間が、皆様の生活のなかで他にない特別な時間、目には見えないけれど心に利益をもたらす時間になれば、私たちにとってこれ以上の喜びはありません。

(友の会だより113号、2020年8月31日発行)

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