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美術館 > コレクション > 所蔵品解説 > コレクション オーディオガイド 佐伯祐三《サンタンヌ教会》

 

佐伯祐三《サンタンヌ教会》

佐伯祐三《サンタンヌ教会》

1928(昭和3)年/油彩・キャンバス/72.5×59.7cm

 縦72.5センチ、横59.7センチの縦長の油絵です。サンタンヌ教会とは、フランスのパリ南部に今も建つ教会です。
 この作品では、教会へと続く道から、教会とその周りの建物が捉えられています。画面の右下から左上へ向かって伸びる通りは、奥へ行くにつれて幅が狭まり、教会の手前で別の道とT字路を構成しています。通りの左右には白壁の建物が建ち、歩道には人影も見えます。
 画面の一番奥に建つのが、サンタンヌ教会です。大きなドームの上には十字架が描かれ、ドームの左右に2本の高い塔が建っています。
 この作品の大部分は、白や灰色、青みがかった黒で描かれています。統一感のある色調のなかで、建物の一部に塗られた鮮やかなレンガ色が目を引きます。レンガ色の絵具の表面には、先の尖ったもので傷がつけられています。このひっかき傷によって、レンガの目地が表現されています。
 作品の表面を観察すると、他にも独特な表現を見つけることができます。例えば、通りの右側の建物の壁面には、白い絵具の塊が、べっとりと付着しています。通りの左側の建物と教会の境目には、絵具を勢いよく削り落としたようなあとも見られます。
 画面の右上には、短い煙突が描かれています。そのうちの1本から、煙が空に流れています。空のほとんどの面積を、濁った灰色の雲が占め、雲の隙間から、ほんのわずかに青空がのぞいています。

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