バルトロメ・エステバン・ムリーリョ《アレクサンドリアの聖カタリナ》

1645－50年頃／油彩・キャンバス／165.0×110.0cm

　縦165センチ、横112センチの縦長の画面いっぱいに、キリスト教の聖女、アレクサンドリアの聖カタリナの全身像が描かれています。
　カタリナはこちらに体を向け、両手を広げてひざまずいています。黒髪は波打ち、頬はバラ色に染まり、大きな瞳は濡れて光を反射しています。
　彼女が身に着けているものを見てみましょう。頭には金色の冠と白いヴェールをかぶり、右耳にはイヤリングが光っています。光沢のある黄色のドレスの上には、はりのある布地のガウンをまとっています。胸元には宝石をはめ込んだブローチを留め、腰には緑のベルトを回しています。ドレスやガウンの裾にはしわが寄り、床の上に布地が折り重なっています。裾の下からは、朱色のクッションがのぞいています。
　クッションの手前には剣がななめに置かれています。剣の持ち手は豪華に装飾され、刀はむき出しになっています。持ち手の少し上に視線を移すと、闇のなかから車輪の断片を見つけることができます。
　画面の左奥には、石造りの大きな円柱とその台座が、右奥には手すりやその装飾が描かれています。カタリナは、屋外を望むバルコニーのようなところにいるようです。
　画面の右上には、ピンクと白の翼を持つ天使が描かれています。天使は子どもの姿で描かれ、植物の細長い葉を手にしています。カタリナは宙に浮かぶこの天使の方へ視線を向けています。