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美術館 > 刊行物 > 友の会だより > 2018 > 表紙の作品解説 レイモン・サヴィニャック「1951年、パリ誕生2000年記念」 友の会だより107号 2018.6

表紙の作品解説 レイモン・サヴィニャック「1951年、パリ誕生2000年記念」

1951年、ポスター(リトグラフ、紙)、パリ市フォルネー図書館所蔵 

貴家映子(三重県立美術館学芸員)

 レイモン・サヴィニャック(1907-2002)は、牛乳石鹸のモンサヴォンや、ボールペンのビックなど、数々の名作ポスターを世に送り出した戦後フランスを代表するポスター作家です。ユーモアに満ちた明快なデザインと鮮やかな色彩で、日本でも多くのファンを魅了しています。
 サヴィニャックにとって、生まれ故郷パリは「わが哺乳瓶を満たしていたのは、パリの街路が滴らせるシロップであった」とまで言わしめた特別な街でした。「1951年、パリ誕生2000年記念」のポスターは、パリシイ族の居住地域をローマ帝国が征服し、現在のパリの礎を築いてから2000年の節目を祝うために制作されたもので、エッフェル塔、フランスの三色旗、恋人たちといった、私たちが思い描くパリの象徴が一枚の画面に巧みに凝縮されています。
 サヴィニャックは、自伝のパリに捧げられた章において、「私が好むエスプリと軽妙さを、愛の女神によって与えられたカップルというのは、きわめて稀なのだ」と苦言していて、理想の恋人たちの姿は、この街を彩る重要なモチーフであったことがうかがい知れます。
 この作品は「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」展(2018年6月30日[土]-9月2日[日])にて展示しています。

(友の会だより107号、2018年6月30日発行)
 

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