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美術館 > 刊行物 > 友の会だより > 2018 > 表紙の作品解説 「12の星のものがたり」 (2007年@tuperatupera/ヴィレッジブックス) 友の会だより106号 2018.3

表紙の作品解説 「12の星のものがたり」(2007年@tuperatupera/ヴィレッジブックス)

 鈴村麻里子(三重県立美術館学芸員)

 『12の星のものがたり』は、 2002年にユニットを結成し、 2004年から絵本制作を始めたtupera tuperaが2007年に手がけた絵本です。今回の展覧会では、この冊子に掲載している、ふたご座のページの原画も展示しますが、同じふたご座の、完成度の高いカラフルな未採用原画もご紹介します。当初、 tupera tuperaはこの絵本の原画をさまざまな色の紙を切り貼りしながら制作しました。ところが検討の末、最終的には12星座それぞれにテーマカラーを設定し、そのテーマカラーと黒の2色でビジュアルを展開することになりました。
 紫と黒から構成されるふたご座の採用原画では、まるで黒絵式陶器から抜け出たような横顔を持つ二人が向かい合い、彼らの伝説を彩る場面描写が二人の顔を取り巻いています。実際の絵本では、この絵の右側にテクストが掲載されています。少し引用してみましょう。 「大神ゼウス ひと目みて/美しい レダに 恋をした/白鳥になって 地上におりて/レダに やさしく キスをした」。このように、スパルタ王妃レダから生まれた双子、カストルとポルックスの物語がリズミカルな文章で綴られます。絵本は大人が子どもに読み聞かせることも多いメディアです。実際に文字が本を飛び出して「音」になることが想定され、歌のようなテクストが編まれています。
 ちなみにこちらの絵本、展覧会図録にて、絵本作家の五味太郎さんがお気に入りの一冊に選んでいます。日く、 「とても美しい絵本なので一家に一冊、常備すべきである。」

(友の会だより106号、2018年3月31日発行)

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