年報2015年度版 【特集展示 島田鮎子展】
2015年4月4日(土)-6月21日(日)
【主催】…三重県立美術館
【助成】…公益財団法人三重県立美術館協力会
【担当】…毛利伊知郎
展覧会の概要
2013年度に島田鮎子氏から作品の寄贈を受けたことを機会として、初期から近年までの歩みを紹介する島田鮎子展を開催した。
島田鮎子(1934~ )は夫の洋画家島田章三とともに、ながく名古屋市を拠点に活動を続けて、東海地方を代表する洋画家の一人として、その美しい色彩と構成による作品は多くの美術ファンから支持されている。島田は東京で子どもの頃から芸術に親しみ、東京藝術大学に進学して伊藤廉らに師事して油絵を学んだ。大学卒業後の1962年に島田章三と結婚、その頃から国画会に作品を発表するようになり、1966年に名古屋に転居した後も、活発な作品発表を続けている。
1960年代前期に遡る島田の画業は、荒々しいタッチの静物画や風景画から始まる。1970年代に入ると色面で構成された画面に人物や風景が浮かび上がるスタイルへと移行し、80年代の抽象傾向の強いキュービスム的作品を経て、1990年代には幾何学的なフォルムや線を画面上に配した洗練されたスタイルが確立された。1997年に《Aからの伝言》が第20回安田火災東郷青児美術館大賞を受賞するなど、島田の作品は高く評価されている。
三重県立美術館では、これまでに今日の洋画界を代表する画家たちの個展を開催してきた。この展覧会はそうした活動の一環として、幼い頃から身につけた芸術的感性をベースに、豊かで洗練されたセンスを活かして独自の造形世界を築いた洋画家、島田鮎子の歩みを展望するものとして開催した。