2008年9月6日
斎宮跡第157次発掘調査ニュース
現地説明会を開催しました!
9月6日(土)に、この5月から実施してきた斎宮跡第157次調査の現地説明会を開催しました。説明会当日までは、全国でゲリラ豪雨が頻発し、当地でも不順な天候が続き、当日も朝から急に雨が降り出したり、遠くで雷が鳴ったりと不安定な状態でしたが、説明会が始まる頃には晴れ間も見え、無事に説明会を行うことができました。
「こんな天気で見に来てもらえるんだろうか?」と担当職員も不安いっぱいだったのですが、ふたを開けてみれば、地元明和町の方々をはじめ、歴史や考古学に興味のある方々に136人も来ていただきました。特に、斎宮跡の現地説明会は、毎回来てくださるリピーターも多く、大変感謝しています。
今回の発掘調査では、このホームページでこれまでにもご紹介してきましたが、平安時代の斎宮を形づくる「方格地割(ほうかくちわり)」の中央部にある「柳原(やなぎはら)区画」の北西隅部分を調査してきました。およそ120m四方の区画の端っこにあたり、あまり建物は造られていなかったのでは、という予想もしましたが、結果は15棟もの掘立柱建物が見つかり、この柳原区画では、かなりの密度で建物が建てられていた時期があることがわかりました。なかでも、今回「建物3」と仮称している掘立柱建物は、柱を立てるために掘られた方形の穴が一辺1mを超える大型のもので、柱穴だけ見ればこの柳原区画の中でも最大級のものでした。また、当時の人たちがゴミなどを捨てたと考えられる穴から製塩土器も見つかり、この場所に塩が運ばれて来ていたこともわかりました。この他、注目される出土品として、平安時代の高級陶磁器である越州窯(えっしゅうよう:今の中国浙江省にあった磁器の生産地)の青磁など、興味深いものが多数あります。
今回の発掘調査によって、平安時代の斎宮中枢部の様子がさらに明らかになりました。現地説明会に参加したみなさんにも、当時の斎宮の華やかな様子を思い浮かべ、千年の時を超えたロマンを感じていただけたと思います。
昨晩からの雨で、現場は水浸し。説明会ができるのか不安がいっぱい…
説明会前には天候が回復し、多くの人々が訪れてくれました。
出土した土器の説明。皆さん、熱心に聞いています。
現在調査中の158次調査区。発掘風景も見学してもらいました。
(S)