2008年2月15日
斎宮跡第153次発掘調査ニュース
「寒さの中にも春のきざしが・・・」
大雪の中の現地説明会からあけて2月の第3週。第153・156次調査も大詰めになってきました。
第153次調査は、遺構の撮影や実測、地層の記録など、わずかな作業を残すところとなりました。しかし冬の朝は発掘調査にとっての大敵が待ち受けています。
敵の名前は「霜柱」。通常、できるかぎり毎日の作業終了後に、ブルーシートなどで遺構を保護していますが、それでも調査区の周囲は毎朝真っ白。特に最近のように最低気温が軽く氷点下となる場合、シートの下でも霜柱が立ってしまいます。
このような時、朝一番の仕事は、霜柱が解けないうちに地面を削る道具やホウキで霜柱を取り払ってしまうことです。これがそのまま解けてしまうと、一面田んぼのようにドロドロになって、発掘している地面をきれいにすることができないのです。凍てつくような寒さの中での作業ですが、欠かすことはできません。
第156次調査は、少し拡張もして約70平方メートルの調査になりました。予想していた方格地割の区画道路の南側側溝の一部が、調査区の南端でわずかに姿を見せました。ところが、その道路を壊すようにして、9世紀前葉の大きな穴(土坑)が2つみつかり、たくさんの土器も捨てられていました。「なぜ道路ができて2~30年しかたっていないのにこんなことをするんだろう?」小さな面積の調査でしたが、なげかけられた課題は大きいかもしれません。
第156次調査は、遺構の記録も終わったので、ひきつづき埋め戻し作業を行っています。写真にもあるような、「ランマー」という地面をつき固める機械も活躍しています。でも、これは体力もいる、結構大変な作業なんですよ。地味だけれども、これも斎宮跡の発掘に欠かせない作業です。
毎朝霜柱と戦う日々ですが、発掘現場の近くの畑には菜の花がいっぱい咲いていました。早く暖かくなるといいですね。
第153次調査の撮影前の清掃
第156次調査の遺構の実測
第156次調査の全景(南から)
調査終了後の埋め戻し
発掘現場近くの菜の花畑
(O)