2008年1月25日
斎宮跡第153次発掘調査ニュース
「粉雪の舞う中で」
毎日寒い日が続いています。今朝も昨夜から雪がちらつき、うっすらと積もっていました。前回、雪が積もったときは発掘作業をお休みにしましたが、今日の予定は第153次調査区を東に拡張するため、表土(ひょうど)や包含層(ほうがんそう)を新たに掘る作業のため、発掘調査を行いました。
朝には残っていた雪も9時頃から消え始め、ベルトコンベアの準備も終わって表土から掘り始めます。しかし、天気予報では午後にむかってだんだん天気は回復するといっていたのに全然そのそぶりがありません。結局ほとんど一日中、粉雪が舞う中での作業となってしまいました。少しでもじっとしていると長靴を通して寒さがしみこんできます。調査担当者もついついスコップを握って、作業員さんらと一緒に体を動かしたくなります。現在、掘る作業と平行して遺構の20分の1の実測図も書いていますが、これも寒い季節にはつらい作業のひとつです。
ところで、昨年行った第152次調査の北東で、約60平方メートルほどの追加的な小さい発掘調査を第156次調査として始めました。平安時代の方格地割(ほうかくちわり)の東西道路にあたるとみられる部分で、地形が低くなっていくので、地下に遺構のある地層面が残されているかどうかを確認することとしています。うまくすれば区画道路の側溝も確認できるかもしれません。
最後に、発掘現場に来ていただいた見学者のみなさんからよく受ける質問について・・・
発掘現場では、土坑と私たちが呼んでいる大きな穴や溝に、幅20~30センチの土手のようなものがついている場合があります。
「この帯のようなものは何ですか?」
「こんなものが出たんですか?」
よく頂戴する質問です。これは私たちが「セクションベルト」(あえて訳せば「土層帯?」)と呼ぶもので、土坑などの遺構に埋まっていた土の質や地層の重なり具合、土器などの遺物の埋まり方などを観察したり、図や写真に記録するためにわざと掘らずに残しているものです。調査後に取り除く場合もありますが、遺跡の情報を少しでも後世に残す意味でも、たいていそのまま埋め戻します。いわばその遺構のカルテの一部のようなものとでも言えるでしょうか。
このほかにも発掘現場には、みなさんには不可思議なものがまだまだあるかもしれません。
雪降る中での作業
153次調査は調査区を拡張中!
掘るのと平行して遺構の実測も行っています。
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「これって何ですか?」 発掘現場でよく質問されます。(「セクションベルト」) | 無題 |
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