2007年10月25日
斎宮跡第152次発掘調査ニュース
調査員の苦悩
第152次調査での遺構を掘る作業は大詰めに近づいています。土器が大量に出土する土坑(どこう)などはまだ掘っていますが、柱穴の密集する部分は記録用の写真を取るため清掃を行いながら、掘り残しがないか精査をはじめました。
第152次調査は、とても広い面積を対象としているため、地面が乾燥したり、長期間雨にうたれたりして遺構が壊れないようブルーシートをかけて保護をしてきましたが、今ようやく調査区全体のシートをめくって、全貌が見渡せるようになりました。昨年度までずっと狭い面積の発掘しかしてこなかった調査員には遺構がずっと続くその広さは感動ものです。
けれども、感動に浸ってばかりはいられません。これまで部分的にしかしてこなかった柱穴と柱穴の並び具合の検討や、建物跡と他の遺構との位置関係の確認といった作業が待っています。特に柱穴が密集して重なりあっているような部分では、どうやって建物が建っていたのかかなり頭を悩ませることもあります。柱穴の形をしている以上、必ず何らかの建物の跡なのですから。後日に記録した図面や写真からもある程度検討はできますが、まずは発掘調査した現地で確認することが一番重要なのです。
これから発掘調査の成果を、地域や博物館を訪れてくださるみなさんに現地で報告する説明会も近日中に開催予定です。このように調査員の苦闘の結果もご紹介していきたいと考えています。
遺構の検出と清掃の追い込み
調査員の苦悩・・・ どの柱とどの柱が並ぶのか?
(O)