2007年10月5日
斎宮跡第152次発掘調査ニュース
遺構の掘り方いろいろ
第152次調査も南区の調査が大詰めに近づいていますが、ここにきて調査区の西よりの土坑(大きな穴のこと)から9世紀の土器がたくさん出土しています。注意して掘らないと足の踏み場もないほどです。写真のように土師器(赤い素焼きの土器)が一番多いのですが、あまり割れていないものには灰釉陶器(灰のうわぐすりをかけた陶器)が目立ちます。
たくさんの土器が発掘されます
これは陶器のお椀です
お皿もあります
一方、南区の東よりではこれまたたくさんの掘立柱建物がみつかりました。9世紀から11世紀頃まで長い年月にわたって同じ場所で何度も建物が建替えられていた証拠です。
ところで、発掘調査では調査員が示す手順や指示を守って、作業員さんらに遺構を掘ってもらうのですが、斎宮跡の作業員さんはベテランも多く、遺構の掘り方にもいろいろなワザや個性があるようです。遺構を掘る道具の基本はハンドショベルですが、その他にも園芸用のミニスコップや草削りなどをそれぞれに使い分けて柱穴などを掘っています。面白いものでは小さな穴や深い穴などで台所の「おたま」も活躍しています。さらに道具とは言いにくいのですが、缶詰の空き缶も立派な発掘道具として活躍しています。穴の壁を少し削りながら底の土も集めたりするのに絶妙な大きさと固さなんです。そしてもちろん発掘道具の定番「竹ベラ」「手ボウキ」を加えればまさに七つ道具!!発掘現場のベテランさんたちはこうした道具をあざやかに使い分けて遺構を掘り進めています。こうしたワザも発掘見学を楽しむポイントといえるのではないでしょうか。
ベテランの穴の掘り方はいろいろ・・・
オーソドックスにハンドショベル
この方はショベルの手の返し方にワザがうかがわれます
ミニスコップ派
土が固いと手バチや草削りも使います
おたまも立派な道具
こうして柱穴がきれいに掘りあがります
(O)