第38話  「斎王群行」江刺ロケ報告 最終回

今回はそのほか色々なカットを集めてみました。

① 映像を支えた乳母(うば)と命婦(みょうぶ)
 今回の役者さんの素晴らしいのは、立つ・座るが芝居になっていたこと。特にこのお二人は、何もしていないようで、見事な存在感を出していただきました。
 斎王の乳母は山口ちえみさん。ミュージカルやテーマパークのアトラクションのお仕事が多く、十二単ははじめて、といいながら、玲瓏たる美女ぶりでした。とにかく楽しい方で、出演者チームのムードメーカーとして、出番以上のご活躍でしたよ。斎王の髪をくしけずるシーンの美しさは特筆ものです。

山口さん、禊の場面で、ボートで川を渡るの図。世にも珍しい、ゴムボートと小袿姿。

山口さん、禊の場面で、ボートで川を渡るの図。世にも珍しい、ゴムボートと小袿姿。

 斎王の秘書館長的な役割の高級女官を命婦といいます。この役は今淵仁音さん。こちらは落ち着いた大人の女のイメージ。別れの櫛の場面や、斎王が斎宮に入る場面など、節目節目で引き締めていただきました。でも、端正な素顔の陰には、驚くべき「天然」の一面が…、ロケ期間中、「江刺藤原の郷」の一般観光客の方から、「どういう撮影ですか?」ときかれて、山口さんたちが「どう説明しようか」、と迷っていた所、今淵さんが一言「趣味ですぅ」、と言って、そのまま行ってしまったとか。大物です。

大人の女、って感じで。

大人の女、って感じで。

②そして製作側のスタッフの皆さん。

この人が「斎王群行」の総監督、林謙司さんです。  演技指導の猿若清三郎さんです。大河ドラマの演技指導歴多数の所作の達人。
この人が「斎王群行」の総監督、林謙司さんです。 演技指導の猿若清三郎さんです。大河ドラマの演技指導歴多数の所作の達人。

撮影監督の深江岳彦さんです。

撮影監督の深江岳彦さんです。

③その他のみなさん
ロケには江刺市周辺にお住いのエキストラさんがたくさん参加しています。なかでも大変なのが、葱華輦をかつぐ駕輿丁役の人たちでした。何しろ百キロはある本物の葱華輦(斎王まつり実行委員会蔵)を本当に担いでいるのですから。

 そしてこのロケで一番のVIPは実は牛さんでした。お忙しくて参加は半日ずつ。しかも大変気むずかしくていらっしゃいます。牛車を引ける牛さんはほとんどいないのだそうです。
 
 こうして、たくさんの人たちのご努力の結集「斎王群行」は無事に幕を開けることができました。ここでとりあげなかった方々もふくめ、皆さま本当にお世話になりました。

(主査兼学芸員 榎村寛之)

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