鴨の静物


コレクション

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ジャンル

水彩・素描

作者名

岩橋教章
IWAHASHI Noriaki

制作年

1875(明治8)年

材料

水彩・紙

寸法

54.0×34.3

署名

左下:いわはし / のりあき

寄贈者

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来歴

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初出展覧会

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作品名欧文

Still Life with a Duck
関連資料

解説

松阪出身で明治初期に活躍した岩橋教章(一八三五~八三)のほとんど唯一の遺作。この作品は、板につるされた鴨を克明に描き出した水彩画で、明治初期における写実表現の作例として紹介されることが多い。岩橋は、病気見舞いに贈られた鴨を題材に本作を描いたと伝えられるが、制作の背景は決して単純でなかったようだ。というのは、本図とうり二つの絵が残っているからである(左の絵)。この絵は、フランス人画家ジャン=ジャック・バシュリエ(一七二四~一八〇六)が一七五三年に描きサロンに出品した作で、岩橋の絵と同じくつり下げられた鴨が写真のように正確に描き出されている(ただし、これは油彩画)。両者の酷似は、偶然ではないだろう。岩橋の念頭に、このような西洋の「だまし絵」があったと考えるのがむしろ自然で、そうなると岩橋による写実表現の意味も少しく変わってくる。「鴨の静物」は、明治期における西洋文化摂取の複雑多様なあり方を私たちに伝えてくれる作品でもあるのだ。
(県立美術館学芸員・毛利伊知郎)

展覧会歴

明治・大正・昭和三代名画展(松坂屋)
日本洋画のれきし 三重県立美術館コレクションによる(茨城県立近代美術館 2000) no.3
コレクションの全貌展(三重県立美術館 2013)

文献

酒井忠康『近代日本の水彩画』(岩波書店 1996)
谷川渥『【図説】だまし絵 もうひとつの美術史』(河出書房新社 1999)p.108
中原佑介「美術が語る花鳥風月」『草月』211号 1993・11
山口県立美術館編『みる・しる・しらべるコレクション vol.2 高橋由一 鴨図』(オクターブ 2009.6.30)p.14図5
Doshin Sato, Moderrn Japanese Art and the Mieji State. The Politics of Beauty, The Getty Research Institute, 2011, p.144, pl.9
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