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三重県総合博物館 > コレクション > スタッフのおすすめ > 黄銅鉱 Chalcopyrite

黄銅鉱 Chalcopyrite

資料名 黄銅鉱 Chalcopyrite 成分 CuFeS2
資料番号 MR0968 産地 紀州鉱山(熊野市紀和町)
分類 硫化鉱物 結晶系 正方晶系
硬度 3~4  真鍮(しんちゅう)色 条痕は緑黒色
大きさ 9.7cm×7.0cm×5.0cm
解説 三重県南部の熊野市紀和町は、かつて金・銀・銅の豊かな鉱脈が存在し、最盛期には1日3000tを生産する紀州鉱山が操業していました。昭和53(1978)年に閉山となりましたが、紀和町付近の鉱山の歴史は古く、『続日本紀(しょくにほんぎ)』には大宝(たいほう)3(703)年に、牟漏(むろ)郡から銀を献納したことが記されています。この「牟漏」とは「牟婁」のこと、また銀を採鉱したのは紀和町の鉱山であったと考えられています。ほかにも、東大寺の大仏建立や慶長小判(けいちょうこばん)、桃山城の構築、日光東照宮などに、この地の産金が献上されたと伝えられています。
紀州鉱山をつくる鉱床(こうしょう)は、新第三紀火成活動(しんだいさんきかせいかつどう)に関係した熱水鉱脈鉱床(ねっすいこうみゃくこうしょう)で、熊野酸性岩(くまのさんせいがん)の周辺に分布する熊野層群三津野累層(くまのそうぐんみつのるいそう)の厚い砂岩(さがん)と泥岩(でいがん)の互層(ごそう)と四万十累層郡(しまんとるいそうぐん)中にあります。おもな鉱石鉱物は、黄銅鉱、黄鉄鉱(おうてっこう)、閃亜鉛鉱(せんあえんこう)、方鉛鉱(ほうえんこう)、磁硫鉄鉱(じりゅうてっこう)でした。
5円硬貨や金管楽器は、「黄銅」という銅と亜鉛の合金でつくられています。黄銅は、真鍮(しんちゅう)とも呼ばれ、英語名はbrass(ブラス←ブラスバンドのブラスです)しかし、黄銅鉱は名前に「黄銅」とつきますが、「黄銅」ではありません。亜鉛合金ではなく、化学式がCuFeSで表される硫化物(りゅうかぶつ)で、これから単体の銅を精錬(せいれん)します。
銅の元素名(Copper)と元素記号(Cu)は、かつて銅が地中海(ちちゅうかい)のキプロス(Cyprus)島で産出したことに由来します。ところで、銅の元素名「Copper」という語にはもうひとつ「警官」という意味があります。(例えば映画の「ビバリーヒルズ・コップ」や「ロボ・コップ」など)これは、警察官の制服のボタンが銅製であったことに由来しています。
同派、銀に次いで電気抵抗が小さいので、電線に利用されています。また、現在、国内で流通している硬貨は、1円硬貨(アルミニウム)を除いて、すべて銅が主成分の合金です。(「けんぱくのおすすめ」第63回「100円硬貨」を参照してください。)
かつて、紀州鉱山から掘り出された黄銅鉱が精錬され銅になり、硬貨となって日本中を回っているかもしれません。(H)
黄銅鉱 黄銅鉱
黄銅鉱(拡大)
関連ページ 100円硬貨(銀貨)
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