中里和人写真展「ULTRA-臨界夜景-」
2009年12月23日(水)-2010年2月14日(日)
三重県立美術館 柳原義達記念館・展示室B
※入場には常設展観覧料が必要です。
ULTRA
夜になると、昼間にはあたりまえの風景が、まったく見たことのない景色に変わることがある。そこには、夜特有の色、影、形など、夜景の持つ不思議な色彩や陰影が新しいイメージとなって漂っている。
偶然だったが、夜景撮影を続ける中で色や光がほとんど消えた、まるで失敗写真のような暗い夜との出会いが生じた。それは、極端に暗い現場の深い闇の中、夜景の臨界点で撮影された一枚だった。撮影現場を思いおこすと、周囲にある深い闇に紛れ、呑まれ、いつしか自分と闇の境界も朧げになっていたことを憶えている。
ULTRAの語源は、地中海を越えてやって来たウルトラマリン(ラピスラズリ)に由来するが、遥か遠くの夜のハテからやって来て、明滅するぎりぎりの夜景をULTRAと名づけた。
暗闇写真と出会ってからは、闇を背景に浮かびあがる光や色彩の夜景写真ではなく、風景が消滅してしまう背景の闇へ、闇景(臨界夜景)へと興味が移っていった。
そこには、ザラザラした闇の粒子が蠢く暗い闇溜まりがあった。
(中里和人)
中里和人(なかざとかつひと)
1956年 | 三重県多気町生まれ |
1978年 | 法政大学文学部地理学科卒業 |
【写真展】 | |
1990年 | 「湾岸原野」東京新宿 オリンパスギャラリー |
2000年 | 「小屋 無心で奔放な建築」東京、大阪 INAXギャラリー |
2001年 | 「キリコの街」東京麻布十番 うちだ |
2008年 | 「夜、自然、もう一つの東京」ドイツ・ハンブルク オッテンゼン資料館 |
2008年 | 「ULTRA臨界夜景」名古屋 中京大Cスクエア |
【写真インスタレーション】 | |
2000年 | 「長屋迷路」東京向島の長屋 |
2002年 | 「青梅幻視画(ジオラマ)館」東京青梅 SAKURA FACTORY |
2002年 | 「デッドスクールブルース」山梨富士吉田の元・美容院 第3回まちがミュージアム |
2002年 | 「褪色のハテ」沖縄那覇 農連市場倉庫 第1回WANAKIO |
2003年 | 「逢魔が時」埼玉浦和 ギャラリー楽風 |
【ワークショップ】 | |
2002年 | 「移動する小屋」廃材小屋作り 目黒区美術館ワークショップ楽しい建築教室2 |
2004年 | 「橙屋プロジェクト」地場産ジャム創出計画 向島Year2004 |
2008年 | 「絵はがきの町」東京谷中 町歩き絵はがき創出計画 |
【写真集】 | |
1991年 | 「湾岸原野」(六興出版) |
2000年 | 「小屋の肖像」(メディアファクトリー) |
2002年 | 「キリコの街」(ワイズ出版) |
2004年 | 「路地」(清流出版) |
2006年 | 「R」(冬青社) |
2006年 | 「東亰」(木土水) |
2007年 | 「4つの町」(清流出版) |
2009年 | 「ULTRA」(日本カメラ社) |
【共著】 | |
2005年 | 「夜旅」(河出書房新社 文/中野純) |
2007年 | 写真絵本「こやたちのひとりごと」(ビリケン出版 文/谷川俊太郎) |
2007年 | 「石はきれい、石は不思議」(INAX出版) |
2008年 | 「東京サイハテ観光」(交通新聞社 文/中野純) |
2008年 | 「SELF-BUILD」(交通新聞社 文/石山修武) |
現在、東京造形大学教授
同時開催:
【子どもアートinみえ】
2009年12月23日(水)-2010年2月14日(日)
第1部 ハロー!アーティストでは中里和人氏によるワークショップの成果が展示されます。