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三重県総合博物館 > コレクション > スタッフのおすすめ > ツキノワグマ

ツキノワグマ(Selenarctos thibetanus

資料名  ツキノワグマ(メス) 学 名

 Selenarctos thibetanus

分 類  ネコ目
 クマ科
産 地  多気郡大台町宮川 水越谷(みずこしだに)
採集日  平成6(1994)年10月13日 その他  体重  32.5キロ
 体長 128.5センチ

 有害駆除個体
解 説

 ツキノワグマは、全身の毛は黒色で、胸に白い三日月模様があることから、この名前がつけられています。まれに、三日月模様のない個体もあって「闇(やみ)」と呼ばれています。日本では、本州、四国、九州に分布するとされていますが、九州のものは絶滅した可能性が高いといわれています。
 三重県のツキノワグマは、紀伊半島地域の個体群に属していて、本州のほかの地域から独立した個体群です。生息数は、紀伊半島全体で約180頭と推定されています(『三重県レッドデータブック 2005』より)。本州中部や東北の個体が体重70キロから120キロほどなのに対して、この個体群は、成獣でも体重30キロから65キロ程度と小さいのが特徴です。紀伊半島地域の個体群は孤立後、長い間存続している個体群と判断され、貴重な個体群と考えられています。このため、紀伊半島産の標本は個体群較差を研究する上で重要な資料となります。
 ツキノワグマは、肉食獣の仲間ですが、ドングリや木の若芽なども食べる雑食性です。冬には、岩穴や木のウロ(幹などにあいたほら穴)などの中で冬眠しますが、成獣のメスは冬眠の間に子どもを1、2頭出産します。しかし、温暖な紀伊半島では、冬の間も冬眠せずに活動する個体もいるようです。
 ツキノワグマは、戦後の拡大造林期から行われてきた落葉広葉樹林の伐採による生育環境の悪化や有害獣として駆除されたことなどが原因で個体数が減少しました。三重県では、絶滅危惧ⅠB類(EN)に分類され、近い将来、野生では絶滅する危険性が高い種とされています。
 ここ数年、クマが人里(ひとざと)に出没して被害が出ることから東北地方などでは、有害動物とされ、駆除されることも多いようです。三重県では、平成6(1994)年以降に紀伊半島個体群の狩猟による捕獲が禁止されました。さらに、平成13(2001)年以降は、有害として捕獲された個体を原則として山奥に放すこととなっています。森が深く、木の実などの食べ物が豊富になければ、ツキノワグマは生息できません。ツキノワグマが生息しているということは、豊かな森の象徴ということができます。(TM)
ツキノワグマ
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