タガメ(Lethocerus deyolli(Vuillefroy
資料名 | 学名
Lethocerus deyolli(Vuillefroy,1864) |
資料番号 | ○-1 |
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分 類 | カメムシ目(半肢目) コオイムシ科 |
寸 法 | メス:61ミリ |
採集日 | 平成7(1995)年7月29日 | 絶滅の 危険度 |
環境省 絶滅危惧Ⅱ類 三重県 準絶滅危惧 |
採集地 | 津市白山町(旧一志郡白山町)東青山 | ||
解 説 | タガメは、水田はもちろんのこと、かんがい用水路や池沼、時にはあまり流れの速くない河川の岸近くでも観察される日本最大の水生昆虫です。タガメの名前は、「田のカメムシ」に由来します。国内では本州や四国、九州、沖縄に、国外では台湾や朝鮮半島、中国に分布しています。 タガメの体は、扁平(へんぺい)で長だ円形で灰褐(かいかつ)色あるいは褐色をしています。前肢(ぜんし)の腿節(たいせつ)は太くがっちりしていて、脛節(けいせつ)はわん曲していて鎌のような形をしています。この前肢を使うことで、自分よりも体の大きな魚やカエルなどを容易につかまえることができます。口は、つかまえた獲物の体液を吸いやすいように針のような形をしています。そして、尾端には1対(つい)の伸び縮みする呼吸管があって、これを水面に出して呼吸をします。 タガメの繁殖期は、5月中旬~8月中旬にかけての時期です。1対のペアが、水面から突きだした杭やイネなどの植物の茎に登って行われます。50個あまりの卵を産み付けた後、メスは飛び去っていきます。その後、オスがその卵塊の世話をします。また、繁殖相手の見つからないメスが、時としてオスが卵塊(らんかい)の保護を行っている場所まで登り、別のメスが産んだ卵塊を破壊する行動がみられることでも有名です。メスは卵塊を壊すことで、繁殖相手であるオスを獲得し、自分自身の子を残す行動とされています。 タガメは、これまで三重県内に広く分布していましたが、近年は姿を見ることが稀になっています。それは、生息場所である水田や池沼などの環境汚濁が進み、また、開発などで埋め立てられたりしているからです。平成17(2005)年に刊行された『三重県レッドデータブック2005』では「準絶滅危惧(NT)」に、国のレッドデータブックでは「絶滅危惧II類(VU)」に分類されていて、全国的にも貴重な生きものになってしまいました。 (I) ※ 『三重県レッドデータブック2005』では、絶滅の危険性について絶滅(EX)・野生絶滅(EW)・絶滅危惧ⅠA類(CR)・絶滅危惧ⅠB類(EN)・絶滅危惧Ⅱ類(VU)・準絶滅危惧(NT)・情報不足(DD)の7つに分類しています。「タガメ」は、生息環境がこれ以上悪化すると絶滅のおそれが高い種になることから準絶滅危惧(NT)に分類されています。 |
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![]() タガメ(メス) |
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![]() 前肢 |
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![]() 口の部分 |
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![]() 呼吸管 |