ニホンカモシカ(国・特別天然記念物)(Capricornis crispus)
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資料名 |
ニホンカモシカはく製(メス) |
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学 名 | Capricornis crispus | ||
分 類 | ほ乳綱 偶蹄目 ウシ科 カモシカ属 |
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保護日 | 昭和53(1978)年11月30日 熊野市内で生後1年未満の幼獣として保護 |
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飼育歴 | 満16歳まで日本カモシカセンターで飼育 平成6(1994)年12月5日没 |
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寸 法 | 体長(頭胴長):102センチ 体高(肩 高): 68センチ |
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解 説 | 【カモシカの保護】 ニホンカモシカは、代表的な国産銃「村田銃」の普及とともに、明治時代の中ごろから肉や毛皮を目当てに多数捕獲されるようになりました。そのために、一時、生息数が全国で3000頭まで減少したといわれています。昭和30(1955)年に「特別天然記念物」に指定されてからは、密漁の取り締まりなどの保護政策により生息数が回復して、現在は全国で10万頭が生息していると推定されています。 最近は、生息数の増加による農林産物への食害が問題になり、岐阜県や長野県などの一部の地域で捕獲や射殺による個体数調整がおこなわれるようになりました。国は、保護と食害の防止を両立するために「将来、地域を限って天然記念物を指定する」方向を示しました。現在、全国に13か所の「保護地域」が設・閧ウれ、詳しい調査が続けられています。県内には「鈴鹿山地」と「紀伊山地」の2か所が設定されています。 なお、三重県では県民の投票によって昭和39(1964)年にニホンカモシカを「三重県民獣」に制定しています。 【カモシカの特徴】 シカの仲間と思われがちですが、実はウシ科の動物で、脚は短くがっしりとしています。「カモシカのようなスマートな脚」とは、アフリカなどに生息するレイヨウを指す表現で、ニホンカモシカには当てはまりません。 分類名の「偶蹄目」とは偶数本の蹄(ひづめ)を持つ仲間という意味で、ニホンカモシカには写真のように足先に2本の蹄が見られます。後ろ側には退化した指の名残が2本見られます。 目の下には「眼下腺」があって、ここから分泌(ぶんぴつ)される酸っぱいにおいの液体を木や石にこすりつけて自分の縄張りを主張します。また、同時に角をこすりつける「角とぎ」もおこなうため、大人の角は写真のように前のほうがえぐれています。 角は、オスにもメスにもあります。骨が発達してできたものなので、シカのように毎年生えかわるのではなく、毎年、成長を続けていきます。角の根元の部分を観察すると、リング状に取り巻く「角輪」があります。この「角輪」は、角の成長とともに増えるので、年齢やメスの出産経歴を知る手がかりになります。 (N) |
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2本の蹄(ひづめ)
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