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三重県総合博物館 > コレクション > スタッフのおすすめ > 株切り

株切り

資料名 株切り 資料番号 1004・1066
1092・1506
時代 昭和時代 寸法 別図参照
解説

資料の「株切り」は、三重県下の中勢から松阪地域で使われていた稲作や畑作に関連した道具のひとつです。農業の機械化が始まる前の昭和30年代ごろまで使われていたようです。三重県の南部地域では、なかなか見かけない道具です。道具の伝播や伝承の記録はよくわかりませんが、むしろ用途を知らない人たちが多いのが現状です。そのため、使った経験者はほとんどなく、子どものころに見た記憶がある程度の情報しか残っていません。
株切りは、農作業の機械化以前の道具で、冬期、1月から3月ごろの田起こしの時、田には稲を刈り取ったあとの稲株が残っているので、土の転地替作業の妨げになっています。鍬(くわ)などを使って株を砕いていたのですが、なかなかうまく砕くことができなかったようです。いつごろから株切り道具を使うようになったのでしょう。麦の株にも使っていたという話も伝わっています。
株切りは、田起こしをする前に田に入って、斧のように上から株を切るように砕くものです。刃は、比較的鋭利で、重量もさほど重くなく、軽く振れるようになっています。両刃斧型・斧型・トングワ型の3つの形態があったようです。両刃斧型は、刃自体は片刃ですが、重量が比較的軽く、子どもでも使えるものです。斧型は、その形から斧から生まれたことを推定できるものです。刃は、比較的鋭いもので、刃こぼれなどの使用痕跡があります。トングワ型は、トングワの形をしたもので、先端が三角形に尖ったものもあります。重量もほかの株切りと比べると相当に重いもので、株を砕くには最適なものと思われます。
県内の稲作農業は、昭和34(1959)年の伊勢湾台風で大きな被害を受けました。農家では、毎年台風が来る前に収穫ができることを目指して稲の改良をすすめたことで作付けからの作業が大きく変化しました。現在では、3月末に田植えをし、お盆には収穫する志摩地域や紀南地域の様子がよくニュースなどで紹介されています。また、5月の連休を境としての田植え、9月初めの収穫が一般的になってきています。昔の農業暦や神宮暦などとはあわず、季節感も変わってしまいましたが、一方で新しい季節感や文化感が生まれていっているのでしょう。
(FW)

両刃斧型(No.1506)
両刃斧型(No.1506)

斧型(No.1066)

斧型(No.1066)
斧型(No.1092)
斧型(No.1092)

トングワ型(No.1004)
トングワ型(No.1004)
図(1506と1004)
図(1066と1092)
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