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三重県総合博物館 > コレクション > スタッフのおすすめ > 伊勢型紙の図案

伊勢型紙の図案

資料名   イ 浴衣図案「矢羽根」
  ロ 浴衣図案「大阪万博」
  ハ 手ぬぐい図案「杵屋」
  ニ 浴衣図案「縦枠格子に藤」
資料番号
寸 法   イ 972ミリ × 363ミリ
  ロ 976ミリ × 353ミリ
  ハ 544ミリ × 273ミリ
  ニ 685ミリ × 685ミリ
時  代  イ 大正~昭和9年
 ロ 昭和40年代
 ハ 戦前
 ニ 明治
解 説


 三重県内には、全国に誇りうる数多くの伝統工芸品があります。ひとつひとつの伝統工芸品は、その地域と歴史の中で育まれ、地域の生活に密着して、現代まで伝えられています。
 そのひとつに鈴鹿市白子地域に伝わる「伊勢型紙」があります。着物の柄や文様を染めるときに使うものですが、江戸時代から続く型紙を彫る精巧で緻密な技は、国の重要無形文化財に指定されるほどすばらしいものです。そして、「伊勢型紙」と同じように育まれてきたもうひとつの技があります。それは、浴衣や手ぬぐいなどの「図案」です。
 写真の資料は、有限会社 浅生形紙店(鈴鹿市寺家4丁目)から寄贈された浴衣や手ぬぐいの図案(デザイン画)と型紙です。寄贈された資料は総数185点(浴衣図案 100点・手ぬぐい図案 45点・型紙 17点・手ぬぐい製品 23点)です。図案類は大正時代から現代まで、型紙は江戸時代後期から大正時代までの各時代の資料がそろっています。
 わたしたちの装いを清楚で華麗に飾ってくれる浴衣などのデザインは、絵師が筆ひとつで丹念に描き出します。そのデザインは、伝統的な図柄もありますが、その時代、時代の流行や世相などが反映されるときもあります。寄贈された資料を見ていくと自由な雰囲気が満ちていた大正時代から昭和初期の浴衣の図案は、明るく華麗なデザインとなっています。それが、戦後の復興期(昭和20年代)は、ハイカラながら地味な仕上げです。『経済白書』の副題が「もはや戦後ではない」とされ、高度成長期に突入した昭和30から40年代は、明るく華麗なデザインが多くなっています。また、昭和40年代の資料の中には、当時の一大国家プロジェクトであった「大阪万国博覧会」をテーマにしたデザインも含まれています。手ぬぐいは、どの時代も伝統的な図柄がベースとなっていて、浴衣のように時代による大きな変化はあまり見られません。このように資料を見ていくと浴衣ファッションや手ぬぐいの流行をたどっていくことができます。型紙は、デザイン画を元につくられますが、1枚で完成品となるものばかりではないことがわかる資料です。デザインが複雑になればなるほど、そして色数が多くなればなるほど、ひとつのデザインを仕上げるための型紙が複数必要になってくるということです。浮世絵がいくつもの版木を使って、1枚のすばらしい画になるのと同じことです。
 「伊勢型紙」の技術は、よく知られていますが、型紙図案については、いままであまり注目されることはありませんでした。しかし、この図案の技術もまた、三重県の文化資産として、日本の服飾史や染織技術を研究する上でも、たいへん貴重な資料といえるでしょう。(FK)

浴衣図案「矢羽根」
浴衣図案「矢羽根」
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浴衣図案「大阪万博」
浴衣図案「大阪万博」
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手ぬぐい図案「杵屋」
手ぬぐい図案「杵屋」
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浴衣型紙「縦枠格子に藤」
浴衣型紙「縦枠格子に藤」
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