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方鉛鉱(ほうえんこう) Galena

資料名 方鉛鉱 Galena 成分  PbS
資料番号 RM0015 産地  紀州鉱山(熊野市紀和町)
分類  硫化鉱物 結晶系  等軸晶系(とうじくしょうけい)
鉛灰色(条痕色も同じ) 分類 2.5
解説 方鉛鉱(ほうえんこう)は、鉛(なまり)と硫黄(いおう)からなる硫化(りゅうか)鉱物で、鉛の最も主要な鉱石鉱物です。手に持つとずっしりと重く、成分の90%近くが鉛(Pb)で、残りが硫黄(S)てすが、わずかに銀を含むことがあります。結晶は立方体を示すことが多く、完全な劈開(へきかい)※1があります。新鮮なものは光沢がよく、銀白色に見えますが、すぐに表面が酸化してくすんだ鉛特有の灰色になります。亜鉛(あえん)の主要鉱石である閃亜鉛鉱(せんあえんこう)といっしょに産出することが多く、外観の色も似ています。しかし、閃亜鉛鉱の条痕色(じょうこんしょく)※2が外観の色とは異なり、褐色を呈するのに対し、方鉛鉱の条痕色は外観と同じ鉛灰色を呈するので、条痕色で区別することができます。この資料は、かつて熊野市紀和町にあった紀州鉱山※3から産出したものです。
方鉛鉱から取り出された鉛は、昔からさまざまな用途で利用されています。ハンダは鉛とスズの合金で、融点が低い(約184℃)特性が活かされています。自動車などのバッテリー(鉛蓄電池)には、鉛板と酸化鉛板が電極として使われています。意外なところでは、クリスタルガラスがあります。クリスタルガラスは、一般のガラスに比べて屈折率が大きく、カットして模様を刻むとキラキラとよく輝き、高級食器や装飾品に使われます。このクリスタルガラスの輝きと鉛の色は、外見上は結びつきませんが、ここにも酸化鉛が主成分のひとつとして使われています。そのほかにも弾丸や原子炉の防護シールドなどさまざまな場所で使用されている金属です。(H)


※1
鉱物には、ハンマーで軽くたたくと一定方向に割れやすいものがあり、その割れ口は平らな面をしていて光沢があります。鉱物のこのような性質を「劈開(へきかい)」といいます。

※2
鉱物を粉末にしたときに示す色のこと。条痕板とよばれる素焼きの白い陶板に鉱物をこすりつけて、その筋(「条痕」といいます)の色を見ます。
※3
紀州鉱山については、第66回「黄銅鉱(おうどうこう)」を参照してください。
方鉛鉱
方鉛鉱
方鉛鉱(拡大)
方鉛鉱(拡大)
閃亜鉛鉱
閃亜鉛鉱
 
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