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三重県総合博物館 > コレクション > スタッフのおすすめ > 箱膳(はこぜん)

箱膳(はこぜん)

資料名 箱膳 時代 昭和
資料番号 741 寸法 下図参照
解説

資料の「箱膳(はこぜん)」は、現在の松阪市黒部町地域の農家で昭和30年代まで使われていました。使われていた当時、箱内にあった箸(はし)や茶碗(ちゃわん)、汁椀(しるわん)や皿などについては残っていませんでしたので、箱のみが当館に寄贈されました。また、もう1つ同じ所から箱膳が寄贈されています。
この箱膳は、檜(ひのき)の一枚板でつくられた生地(きじ)に箱の角の組子(くみこ)や木釘(きくぎ)をそのままにしながら、防水や隅間止めに「こくそ」(綿繊維、おがくず)を施して、その上に柿渋(かきしぶ)で着色しています。そして、生地を生かして漆(うるし)を塗って仕上げる「伊勢春慶塗(いせしゅんけいぬり)」となっています。そのため、刷毛(はけ)跡や塗りむらなどが見られますが、丈夫で長持ちすることから多くの人たちに愛用されてきました。また、彩色や絵柄などを施さない素朴な仕上げで、問屋や製造業者は製造コストを下げる努力をしていました。箱の裏底には、黒印で縦3行に「大極上伊勢山田宮□ □□□ □□□□□冶□□」と記されているのが、わずかに判読することができます。
箱膳には、1人用の箸、飯茶碗、汁椀、湯飲み茶碗や皿をはいっていて、食事の時には箱膳の蓋を裏返して箸や茶碗などを並べて「膳」として使います。食事の後には、お茶を飯茶碗や汁椀にいれて、箸や漬け物(たくわん)で食器を洗って、最後にそのお茶を飲んだ後、布巾(ふきん)などで水分を拭き取って箱の中にしまいました。箱にしまうときは、それぞれの食器をひっくり返してしまい、蓋をして台所の隅に重ねて置いていました。食器は、月に一度または半年か1年に1回程度の水洗いをしていました。この習慣は、箱膳を使っていた頃は、水が生活の中で大変貴重なものであったことから生まれたものと思われます。(FW)

箱膳
箱膳(寸法図)
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