エドヒガン(Cerasus spachiana)
資料名 | 和 名 エドヒガン 学 名 Cerasus spachiana 旧学名 Prunus pendula |
分 類 | バラ科 サクラ属 |
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採集年 | イ 昭和25(1950)年 ロ 昭和25(1950)年 ハ 平成 9(1997)年 |
採集地 | 伊賀市(旧上野市) |
資料番号 | イ MPMP 4162 エドヒガン(花) ロ MPMP 4163 エドヒガン(葉) ハ MPMP25343 エドヒガン(栽培品種 イトザクラ) |
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解 説 | 日本を象徴する花と言われるサクラの仲間は、バラ科サクラ属に分類される落葉広葉樹で、日本国内では、野生種が約10種と各種が交配した種間雑種が自生しています。このほか、人為的に生み出された栽培品種(園芸品種)が約300品種知られ、その数の多さからも日本人がいかにサクラに関心を寄せてきたかがわかります。現在のサクラの代表ともいえるソメイヨシノは、江戸時代後期に誕生した栽培品種で、今回紹介するエドヒガンとオオシマザクラの種間雑種と考えられています。 エドヒガンは、別名アズマヒガン、ヒガンザクラ、ウバヒガンともよばれ、本州・四国・九州および中国中部、台湾、朝鮮半島に分布します。他種のサクラに先駆け、春の彼岸のころに咲くためこの名がつけられました。花は、ソメイヨシノと同じく葉に先駆けて咲き、ヤマザクラやオオシマザクラのように葉と花が同時に展開することはありません。樹高は30mを超えることもあり、樹齢1,500年といわれる「薄墨桜」(岐阜県)のような老木や大木がしばしばみられます。エドヒガンの特徴は、花の基部にある萼筒(がくとう)がひょうたん型であることと、幹の樹皮に細かい縦の裂け目が多くはいることがあげられます(一般的なサクラの幹では樹皮表面に皮目とよばれる横に伸びる樹皮の盛り上がりが目立ちます)。 エドヒガンの栽培品種であるイトザクラ(糸桜)は、枝が細い糸のように垂れ下がることからこの名がつき、別名シダレザクラ(枝垂桜)ともよばれます。独特の樹形は植物ホルモンの一種「ジベレリン」の欠乏が影響しているといわれます。 エドヒガンは、三重県内にも自生しますが数は少なく、その一方で花を愛でるために植栽されているものは多くみられます。有名なモノとしては、松阪市指定天然記念物である春谷寺(しゅんこくじ)のエドヒガンや大紀町指定天然記念物である旧紀勢町役場のシダレザクラが知られています。(M) |
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エドヒガン(花 MPMP4162) | エドヒガン(葉 MPMP4163) | ||
花の基部にある萼筒(がくとう)は、ひょうたん型 | エドヒガン(栽培品種 イトザクラ MPMP25343) | ||
開花時のエドヒガン(イトザクラ) 長野県白馬村にて エドヒガン(イトザクラ)の幹 |