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三重県総合博物館 > コレクション > スタッフのおすすめ > アズマモグラとコウベモグラ

アズマモグラ(Mogera imaizumii)とコウベモグラ(Mogera wogura

資料名 アズマモグラ 資料名 コウベモグラ
学 名 Mogera imaizumii 学 名 Mogera wogura
分 類  食虫目(モグラ目)
 モグラ科
分 類  食虫目(モグラ目)
 モグラ科
資料番号 Ma735 性 別 メス
体 長 13センチ 体 長 15センチ
備 考 (財)日本カモシカセンターコレクション
コレクション番号 カモ154
   
解 説
 三重県には、モグラの仲間が5種生息し、大きい順にコウベモグラ、アズマモグラ、ミズラモグラ、ヒミズ、ヒメヒミズと呼ばれています。今回はこのモグラの仲間のうち、比較的大型のコウベモグラとアズマモグラの関係を紹介いたします。
 アズマモグラは名前の通り、東日本(関東地方以北)に主に生息するモグラで、体長は12センチから15センチほどです。一方、コウベモグラは、西日本(本州中部以南)に広く生息し、体長12センチから18センチほどの日本最大のモグラです。この2種の生息環境は非常によく似ていて、低地の草原や農耕地から、山地の森林まで広く生息していますが、湿潤で土壌の深い平野部で最も生息密度が高くなっています。主にミミズや昆虫類を捕食し、地中に広葉樹の葉を使って巣を作り、繁殖します。

 両種の間では生息環境の類似から、生息場所をめぐる競争が行われてきました。アズマモグラはもともと日本に広く生息していましたが、西日本の平地や低山地に、大陸から進出してきたコウベモグラに生息地を奪われ、東へ東へと追われていったとされています。山地に生息していた小型の個体は孤立し、これらが紀伊半島や四国、広島県の一部の山地に分布しています。現在、平地の生息環境を巡るこの勢力争いは、本州中部地方で行われており、まさに、関ヶ原の戦いの東軍と西軍の天下分け目の合戦を思わせます。
 現在、三重県はコウベモグラの勢力域に位置するため、平地や低山地ではコウベモグラが生息していますが、鈴鹿山系、台高山系などの山地帯にはアズマモグラの孤立個体が生息していて、両種のすみ分けがされているようです。また、紀伊半島南部の低山地には現在のところコウベモグラが進出していないようで、三重県の南に位置する熊野市などでは、丘陵地帯の畑地にもアズマモグラが生息しています。
 紀伊半島では、アズマモグラとコウベモグラのすみ分けが見られますが、半島南部では、全国のミニチュア版のように、コウベモグラとアズマモグラの勢力争いが行われており、非常に興味深い場所となっています。
 (TM)

アズマモグラ
アズマモグラ
コウベモグラ
コウベモグラ
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