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三重県総合博物館 > コレクション > スタッフのおすすめ > スジソボヤマキチョウ Gonepteryx aspasia niphonica

スジソボヤマキチョウ(Gonepteryx aspasia niphonica

資料名  スジボソヤマキチョウ 解 説  今回紹介する収蔵資料は、実に55年前に採集されたスジボソヤマキチョウです。もとより三重県では分布が限られていましたが、さらに今では大変貴重になってしまったチョウです。

 スジボソヤマキチョウの成虫は年1回、6月頃に出現してそのまま翌年の春まで過ごします。陽光のあたる林縁や疎林の周りの低いところを好んで飛ぶ習性があります。翅(はね)を広げた大きさが60mm余りあるので、シロチョウ科の中ではやや大型の種です。翅の特徴は、前翅の先端と後翅の角がとがった形をしていて、四枚の翅にはそれぞれオレンジ色の小紋が1個ずつあります。また、スジボソの名は、後翅の径脈の太さが近縁種のヤマキチョウより細いことからついています。幼虫の食草は、山地の落葉低木であるクロウメモドキの葉です。クロウメモドキは、雌雄異株で,春に淡黄緑色の花をつけ,秋に黒い実をつける植物です。
 本種の分布は、国外ではインド、中国大陸、朝鮮半島、台湾などが知られています。国内では本州 四国 九州に分布します。三重県では、これまでに藤原岳、御池岳を中心とする北勢地方、伊賀市島ヶ原・伊賀町、津市美杉町比津、松阪市堀坂山周辺で生息が記録されていますが、いずれの生息地においても近年30年以上も確認されていません。このため「三重県レッドデータブック2005」では、絶滅危惧ⅠBに位置づけされ絶滅のおそれの高い昆虫とされました。減少の要因は、はっきりしていませんが、人工植林の拡大とともに、樹林の密生した暗い森林となったり、草原や疎林の消失により本種のすみにくい環境が増えたためと考えられています。このような絶滅のおそれのある生物の減少要因をしっかり調査したうえで、自然林の保全を考えていくことが私たちの周囲の豊かな自然環境を守ることにつながるのです。

※「三重県レッドデータブック2005」では、絶滅(EX)、野生絶滅(EW)、絶滅危惧ⅠA類(CR)絶滅危惧ⅠB類(EN)、絶滅危惧Ⅱ類(VU)、準絶滅危惧(NT)、情報不足(DD)の7つに分類されています。スジボソヤマキチョウのランクの絶滅危惧ⅠB類(EN)は、絶滅危惧ⅠA類ほどではないが近い将来における絶滅の危険性が高い種であることをしめします。 (I)

学 名 Gonepteryx aspasia niphonica Bollow
分 類

昆虫網 チョウ目 シロチョウ科

資料番号 箱番チョウ6
産 地 三重県いなべ市藤原岳
採集年  1953年9月10日
大きさ 開帳65mm
スジボソヤマキチョウ(表)
 スジボソヤマキチョウ(表)
スジボソヤマキチョウ(裏)
スジボソヤマキチョウ(裏)
ページID:000061354