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no.4 2005.3.31

〈アートカードみえ〉シリーズの誕生
―学校と美術館をつなぐ「美術鑑賞教育支援教材」―

下栄子

はじめに

〈アートカードみえ〉とは、三重県立美術館所蔵の作品図版を素材にした美術鑑賞教育支援教材のことで、県内の小中学校、盲・聾・養護学校で活用されることを想定し、平成15年度に作成したものである。

 三重県立美術館には、上記の学校関係だけでも年間50前後の団体が訪れ、企画展や常設展示の鑑賞を行っている。子どもたちにとって、本物の作品に出会う体験は、それだけでも幸せなことと思われるが、その機会をより充実したものにするためには、鑑賞に関する何らかの事前学習があってもよいのではないかと考えていた。筆者が当館に赴任した14年度には、既に「ポケットミュージアム」という優れた鑑賞教育支援教材が存在していた。惜しいことに1セットのみのため、1校に貸し出すと、他に申し込みがあってもしばらくは要望に応じられないことになり、一年間で貸し出せるのは数件のみというのが実情だった。より多くの先生や子どもたちに利用してもらえるもの、美術館での鑑賞の事前学習用に使えるもの、更には美術館を頻繁に訪れることができない学校の子どもたちにも、見て楽しんでもらえるものがあったら―という思いから、冒頭で述べたような貸し出し教材をつくってはどうだろうかという発想が生まれたのである。

 作成に際しては、内容の検討や活用方法の研究の他、地道な諸作業も含め、多くの課題が存在した。文化庁の芸術拠点形成事業の支援を受け、いくつかの小中学校・養護学校の賛同を得て「アートカードみえ活用事業実行委員会」を組織し、日頃から美術館の普及活動に様々な形で協力しているJAMM研究会※※の方々、及び県立盲学校の先生に協力員になっていただいた。主に土・日曜日を使っての会合は、7月から3月までの9か月間で、担当別のものも含めて30回余、参加協力員は延べ268名にのぼった。その作成の経緯や〈アートカードみえ〉の利用状況と成果、今後の課題などについてまとめてみたいと思う。




「ポケットミュージアム」とは、ゲームを含む多様な学習に対応できるように工夫された美術鑑賞教育支援教材。アミューズ・ヴィジョン研究会(主に中京圏で活躍中の美術科教員や美術館  学芸員等で組織された団体)により、1998年に作成された。


※※JAMMとは、Joyful Art Museum Society , Mieの略。美術鑑賞教育や美術館教育の研究を目的として、1992年に発足。毎月、三重県立美術館において2回程度の会合をもち、展覧会のワークシートづくりをはじめ、子どもたちを対象とした美術館の教育普及活動に様々な形で協力・尽力している。



アートカードみえ活用事業について

「アートカードみえ活用事業」は、平成15年度、文化庁が実施する芸術拠点形成事業の支援により、三重県立美術館と県内の学校・教員他が連携して実行委員会を組織し、学校で活用できる美術鑑賞教育支援教材〈アートカードみえ〉シリーズの作成とその活用法の研究に取り組んだものである。


1 意図目的

三重県立美術館所が所蔵する作品による、カード形式の美術鑑賞教育支援教材を作成し、県内の小中学校、盲・聾・養護学校に貸出しを行い、図工・美術・道徳・総合的な学習の時間等の諸活動で、美術及び美術館に子どもたちが親しみをもち、豊かな情操を育むことを目的とする。同時に、様々な活用法を実践することにより、学校教育における美術鑑賞、あるいは美術館利用の指導方法についての研究を行うことを目的とする。


2 概要

三重県立美術館の日本近代美術を中心としたコレクションの中から、常設展示で展示されている作品等を選び、それらの図版を材料とした美術鑑賞教育支援教材〈アートカードみえ〉のシリーズを作成し、学校行事として美術館を訪れる際の事前学習、子どもたちによる展覧会企画、その他、美術及び美術館に子どもたちが親しむための諸活動に活用する。また、こうした実践活動や利用案内冊子・VTRの制作等を通じて、子どもたちに美術作品・美術館の楽しみ方を伝える指導方法についても研究を行う。


3 参加者の状況

延べ268名が参加(勤務先等の内訳:小学校70、中学校86、盲・聾・養護学校39、高等学校3、大学3、三重県教育委員会7、アートエデュケーター7、三重県立美術 館53)


4 事業実施のプロセスと日程

1)基本計画の検討・作成 (7〜8月)
2)スタンダードセットの内容物の検討と作成
  ・アートゲームの研究  (8・1月)
  ・アートかるた読み札文 (9〜10月)
  ・授業展開例の作成と実践(11〜2月)
  ・アートゲーム紹介VTR(12〜3月)
3)オプショナルセットの内容物の検討と作成(10〜3月)


<作成日程と参加者数> 2003年7月〜2004年3月

活 動 内 容
1 7 12 実行委員会立ち上げ、制作物の内容について発案 9
2 21 滋賀県立近代美術館訪問、同館の取り組みについて調査 11
3 26 使用対象者と内容の検討、フィードバックの方法の検討 14
4 8 2 基本計画の検討 スタンダードセットの内容の確認 13
5 12 オプショナルセットの内容確認と使用する候補作品の選定 12
6 15 触覚に注目したセット内容について検討、授業展開例の検討 4
7 23 新しいアート・ゲームのアイデアと実践 11
8 9 13 スタンダードセット用かるた読み札文の作成・検討 6
9 15 岐阜県美術館訪問(視覚障害者のための美術鑑賞支援について) 2
10 20 かるた読み札文の作成・検討 6
11 10 4 かるた読み札文の作成・検討 6
12 18 かるた読み札文の決定、VTRとオプショナルセット担当者決定 8
13 11 1 かるた読み札の文字表記の検討 12
14 2 授業展開例の内容案検討(自画像、抽象画、日本画 等) 12
15 22 授業展開例作成の候補作品と担当者の決定・打合せ 3
16 12 20 授業展開例の形式・パズルの仕様・鑑賞ファイル案内文検討 12
17 21 素材コレクション班 収集素材の調査 3
18 1 10 授業展開例・案内冊子の仕様・VTRシナリオを検討 10
19 11 パズルの分割ラインを描く作業、担当者別の打合せ・作業 6
20 17 パズルの分割ラインを描く作業及びチェック、担当者別作業 13
21 2 7 素材コレクション班 収集素材の決定と方法について検討 7
22 14 鑑賞ファイル案内文・パズル分割ライン・授業展開例を検討 15
23 15 授業展開例の検討、パズル分割ライン決定、担当者別作業 9
24 21 授業展開例の検討、VTR撮影のためのリハーサル 17
25 28 授業展開例の検討 3
26 3 6 VTR本番撮影、資料冊子内容の校正 14
27 13 タイトルの検討 9
28 19 鑑賞ファイル班・素材コレクション班の作業 4
29 20 素材コレクション班の作業 7
30 21 鑑賞ファイル班・素材コレクション班作業、パズル包装を検討 2
31 28 鑑賞ファイル班・素材コレクション班の作業 2


5 参加者の反応・感想

 〈アートカードみえ〉の作成及び活用法の研究に携わった参加者(実行委員会協力員)の多くは県内の教育機関に勤務シ、多忙ながらも意欲的であった。以下は事業終了後に寄せられた感想である。

○製作は難しいけれどとても面白かったです。つくっていく中で、メンバーの経験や 思いもたくさん聞くことができたので、とても刺激になり、勉強になりました。

○こんなに作品をじっくりとながめたのは初めてでした。授業展開例を書くために、 サンプルを作るためにと、一つ一つの作品を細部までしっかりと見つめ、作者の思 いに触れ、その背景を探りと、私としてはよい勉強になりました。授業でこれから 取り組む時には、このときの気持ちを思い出し、子どもたちに熱弁をふるってしま いそうです。でも、子どもたち自身の受け止め方を大切にせねばと今は思います。

○鑑賞教材作成にあたって、視覚に障害のある人にも鑑賞を楽しんでもらうことがで きないだろうかという思いで、企画の段階から「触ってセット」にこだわって参加 してきました。全盲の人、弱視の人の特性に配慮したものとするため、盲学校の先 生にも協力していただきました。一方で、「触ってセット」が視覚障害のある人の みのものではなく、障害の無い人も楽しんで使えるものになるよう、知恵を出し合 いました。あとは、活用してもらうため、どう発信していくかが課題です。

○この取り組みを始めた時の、不安な気持ちは一体何だったのだろうと思えてくるような、なかなかの仕上がりになったと感じています。この冊子「アートカードみえを楽しもう!」が、教育現場で少しでも多く活躍してくれることを期待しています。

○中学2年生を対象に「絵伝言ゲーム」の授業をしました。生徒たちの反応はとても良く、『もっとやりたかった』『来週もして!』という声が、授業後もあがっていました。また、描いた絵を順に並べて見合ったり、『私ならこれを描く』と意見し合ったりする姿も見られました。第2次として、ミロやモンドリアンなどの抽象画について授業をしましたが、前回のゲームで、絵がどんどん簡略化される過程を体験しているので、『ナルホド』と、スムーズに頭に入ったようです。

○この活用事業の取り組みを通して、何より自分自身のためによかったと思いました。 いろいろな人の、いろいろな考えに接することが出来たことで、鑑賞の実践をイメ ージすることができ、幅も広げることができました。授業時間が少ないため、制作 だけで目一杯で、なかなか鑑賞に積極的に取り組むことができていませんでしたが、 一度アートカードを使った実践を行ったら、思った以上に生徒のノリが良く、これ から、より深めていく上での手がかりを得ることができたように思います。

○視覚障害のある人にも楽しんでもらえるファイルやカードの作成では、改めて発見 したこともいくつかあり、一緒に活動した人たちと共に、よい経験になりました。 今後多くの人がこれらを利用し、美しい美術館を訪れる機会が増えればと思います。 また、視覚障害者への理解も広がっていくことを願います。

○アートカードを使って鑑賞の授業をしていると、子どもたちの、大人とは全く違う 視点や感性にはっとさせられることがよくあり、私自身、新鮮な驚きや楽しさを味 わうことができました。この〈アートカードみえ〉を使って、一人でも多くの子ど もが鑑賞の面白さを味わってくれることを願っています。


6 事業の改善点及び注意点

成果物そのものと、その活用方法に関するリサーチ活動が16年度以降の課題である。その上で、改善していく内容も明確になっていくと考えている。例えば、利用案内冊子に掲載した授業展開例は、時間が足らず実践にまで至らなかったものも少なくない。これから実践を重ねて改訂版をつくっていきたいという積極的な声が協力員からあがっている。また、触ってセットの中の「鑑賞ファイル」・「鑑賞カード」は、岐阜県美術館の学芸員や名古屋YWCAの方々からの貴重な示唆と三重県立盲学校の先生からの協力を得て作成できたものである。これから実際に授業で使われてみてどうか、配慮すべき点は何か等々についての研究が必要である。協力員のアイデアを大いに盛り込んで作成した「素材コレクション」と「はめ込みパズル」についても同様のことが言える。

「スタンダードセット」は現在64種類のアートカードで構成しているが、理想としては、少しずつ種類を増やし、より豊かな内容にしていければと考えている。その際、学習カードとして、様々に組み合わせて使用されることも想定し、十分吟味した作品選定を行うことが必要である。


7 事業経験の活用(担当者雑感など)

限られた期間及び活動時間の中で、盛りだくさんな内容であったと思う。そのため、多くの土曜日・日曜日を費やして参加し続けられた協力員の方々は、さぞ大変だったことと察せられる。担当者としても、他の展覧会やイベントを遂行しつつの取り組みだったため、日程的にかなり厳しく感じられた。しかし欲張ったかいはあった。それまでの経験でもつことのなかった視点、ものの考え方など、実に学ぶことの多い9か月だったと言える。また、ゲームを皆で工夫したり、かるた用の読み札の文面をあれこれ考えて決めていく作業なども、振り返るとずいぶん楽しい作業であった。


この事業を通して、幾つもの種は蒔かれたのだと思う。どう育てていくかという課題は大きいが、皆で共有し、考え、試行していけばよいのだ。共有してくれる仲間を増やしていけばよいのだ。そう思うようになっている。

事業の計画にあたり、参考にした他機関の事業は次の通りです。この場を借りて、
深く御礼申し上げます。

滋賀県立近代美術館 「アートゲーム・ボックス(美術鑑賞教育支援教材)」
名古屋市美術館  「教師のための 名古屋市美術館利用ガイドブック」
岐阜県美術館 「視覚障害者のための 所蔵品ガイドブック1・2」
名古屋YWCA美術ガイドボランティアグループ 視覚に障害のある方を対象とした絵画説明の手引」


〈アートカードみえ〉シリーズ

〈アートカードみえ〉の特色の第一は、すべて三重県立美術館が所蔵する作品をもとに作成している点である。中でもスタンダードセットは、所蔵品5000点余りの中から教材価値を吟味して選び出した64点をアートカードにしてセット化したものだが、貸し出し要請に十分応えられるよう多数作成した。このことにより、学校での美術鑑賞学習と、美術館で本物の作品を鑑賞する体験が一層密接な関係になることが期待される。第二は、子どもたちに楽しく美術作品に接してもらうため、先進例に学びつつも新しいアート・ゲームを工夫・開発したり、パズルをシリーズの中に採り入れたりした点である。第三は、ともすると視覚中心の美術鑑賞になりがちな中、「触れることによって感じる」ことを大切にした教材もいくつか工夫した点である。


1 スタンダードセット

64種類のアートカード6組入りの基本セット。6班で同時使用が可能。様々なアート・ゲームを楽しみながら鑑賞学習を行うことができる。同セットには、アート・ゲームの方法・鑑賞学習の指導展開例・作品解説などを記載した利用案内冊子「アートカードみえを楽しもう!」、アート・ゲーム紹介VTR、かるたとして使用できるように作成した読み札6組も付いている。貸し出し期間は4週間、他のセットは3週間。

アート・ゲームとは、アメリカで生まれた、ゲームを取り入れた美術教育や教材を意味する。遊び的な活動を通して美術作品に親しむと共に、作品をていねいにみていく力、自分なりの感じ方 や解釈をする力、それを言葉で表現して他の人に伝える力を培うことを目標としている。

スタンダードセット
スタンダードセット


2 学習カードセット

同じ種類のアートカード40枚と大型図版1枚のセット。特定の作家・作品・テーマなどを対象とした学習に適している。数種類の作品を組み合せての貸し出しも可能。(大型図版の種類は少しずつ増やしていく予定。)


3 アートパズルセット

40ピース程度のジグソーパズルが6種類入っているセット。工夫により、多様な年齢層で楽しむことができる。


4 触ってセットA〔鑑賞ファイル〕

作品図版の立体コピーと鑑賞案内文(点字付)とを対応させながら鑑賞することができるようにファイルしたもので、絵画編と立体編がある。また、カード状のものも入れ、多様な使い方ができるようにしている。


5 触ってセットB〔はめ込みパズル〕

くり抜かれた形を、いくつかはめ込んで画面を完成させるパズル。普通のジグソーパズルと異なる点は、一つ一つのピースの形がある程度意味を持っているので、作品のイメージがつくりやすいことである。4種類で1セット。


6 触ってセットC〔素材コレクション〕

所蔵作品に使われている様々な素材を集めたセット。実際には触ることのできない作品の、素材の感触や重、紙質の違いなどを確かめることができる。素材案内カード付き。

触ってセットC〔素材コレクション〕
触ってセットC〔素材コレクション〕


「触ってセット」は、触覚を重視した鑑賞学習や視覚障害のある子どもたちの鑑賞学習を補助するものを目指して作成したものである。学校での鑑賞学習と、美術館での鑑賞とを組み合せての学習を想定している。A〜Cの3種類のセットを同時にまたは別々に貸し出すことができる。


〈アートカードみえ〉の活用状況と課題への取り組み

16年度の課題の一つは、いかに〈アートカードみえ〉を学校現場でより多くの先生や子どもたちに広めることができるかということだった。以下、様々なアプローチでの周知活動を行った。

@小中学校、盲・聾・養護学校に年度当初に配布する「美術館利用案内」で紹介し、希望校には利用案内冊子を送付した。
A美術館のホームページや美術館ニュース「HILL WIND」に紹介文を掲載した。
B団体鑑賞の下見に来館した先生方に事前学習用として紹介した。
C三重県総合教育センターと連携した研修講座「美術館を活用した鑑賞活動」におい て紹介した。(実践例は協力員の先生が発表した。)また、図工・美術の自主研修会 や三重の子どもたち展委員会など、先生方が美術館に来館する機会があれば、その都度紹介した。
D協力員が、それぞれの職場や各地域の研修会などの場で、紹介活動を進めた。


@〜Dの取り組みの中で、Bでは確かな成果が見られた。〈アートカードみえ〉を使っての事前学習と美術館で実際に本物の作品を鑑賞する学習の組み合せは、元々作成にあたって意図したものであり、美術館での子どもたちの様子や実践された学校の先生から寄せられた感想にも手応えが感じられた。今後は下見に来館できない場合にも積極的に紹介し、活用されるよう薦めていきたい。Dの協力員の方々の活躍も大きかった。借用を申請した先生方に情報源を尋ねると、多くが地域の図工・美術班の研修会で、「○○先生(協力員)の紹介で知りました」という回答であった。

一方、上記の中で最も基本的な周知方法である@は、一校への書類配布の少なさと地味さから、浸透が不十分であった。更に工夫をしつつ進めていく必要があることを痛感している。また周知方法以外にも、貸出先の拡大やそれに関連して小回りのきくセット内容の編成などについても検討していきたいと考えている。


〈アートカードみえ〉貸出件数(2005年1月31日現在)

 
1 スタンダードセット 33 29 3 1 4 7 77
2 学習カードセット 5 6 0 1 1 0 12
3 アートパズルセット 4 2 1 0 0 1 8
4 触ってセットA〔鑑賞ファイル〕 1 2 1 0 0 0 4
5 触ってセットB〔はめ込みパズル〕 1 1 1 0 0 0 3
6 触ってセットC〔素材コレクション〕 3 1 0 0 0 0 4
47 41 6 2 4 8 108

学習カードセットでは、大型図版の無い、学習カードのみの貸出しの場合も含む)

 16年度の二つ目の課題は、セット内容や活用法についてのリサーチ活動であった。〈アートカードみえ〉を活用した先生に、簡単なアンケート記入を要請するという大まかなものではあったが、スタンダードセットは貸出件数も比較的多く、アンケートも多く寄せられた。(セットの仕様等に関する意見もあるが、ここでは割愛する。)

活用された学校の市町村 (実施学年) □実施内容

@子どもの声 A先生から見た子どもの様子・感想・意見B子どもの変化

四日市市(小4) □アートかるた □あるないゲーム
A普通のかるたと違い、読み札の言葉でイメージをしてさがすという新しい感覚に、 湧き上がっていた。かるたとして使うことで、たくさんの絵を見られてうれしかっ たとか、「あるないクイズ」では、頭を使いながら絵を隅々まで見れたのでよかっ たとのことだった。すごく楽しませてもらった。

四日市市(小6) □アートかるた
Aかるたの文を聞いて真剣に取り組んでいた。ダジャレも入って親しみやすかった。 絵札を取った子に「どれ?見せて」と自然に作品に見入っていた。教師が思う以上 に作品をよく見て楽しんでいた。美術館という遠くの存在がとても身近に感じられ、 親しく作品に触れることができた。

四日市市(小4) □アートかるた □あるないゲーム
A「またやりたい!楽しい!」といった意見が多かった。「絵をたくさん見られて嬉しかった」、「作品の名前が知りたい」と意欲的な子も多く見られた。様々な感想を言ってくれて、私自身が大きく成長した。絵を見たいという気持ちの引き出し方を教えられた。

四日市市(小5) □マッチングゲーム □つなげてつなげて
Aこのような絵や彫刻になじみがないので反応を心配したが、子どもなりの共通点を捜し出し楽しんでいた。授業が終わってからも、休み時間に何度も繰り返しやっている子がいた。他のゲームもやりたいと次にできる時間を楽しみにしていた。
B班の中で、自分の感じたことを、抵抗なく話せる子が増えてきた。

四日市市(小6) □アートかるた□名画の中に入ってみたら(教科書教材)
@実施日の日直日誌より「今日、1限目と2限目の図工でアートゲームをしました。先生が読んだのに合うカードを見つけて、一人何枚取ったか数えた。楽しかったです。でも、見つけるのはすごく難しかったです。またやりたいなー。」
A美術館のポスターを見て、「この絵知ってる!」と言ってアートカードにあった作品を見つけている子もいた。アートかるたによる作品鑑賞の後、自分の好きな作品を選んで立体化するオブジェ制作に、楽しんで取り組んでいる。

久居市(小3) □アートかるた □ながれ星(一部を見て該当作品を探す)
A子どもたちは正解が速かった。鑑賞教材を手軽に借りられることがわかった。

名張市(小5) □アートかるた □絵伝言ゲーム
A読み札の言葉がおもしろかった。絵伝言ゲームは絵でかいて伝えていくのがむずかしかったが、とてももりあがってよかった。生き生きと取り組んでいた。
B今まであまり親しみのなかった美術品についての興味・関心が高まった。

亀山市(小6)  □アートかるた
A読み札が解説のようになっているので対象となる絵画を見つけやすい。こんな風に見れるのかという、見方の一つを知ることができた。
B社会科などで、文化の学習に出てくる絵などを関心をもって見る様子が見られた。

松阪市(小5)  □マッチングゲーム→校外学習「三重の子どもたち展」他の鑑賞
Aとても楽しくゲームをした。興味深く作品を見て、鑑賞ノートに豊かな感情の表現がなされた。動機付けが図られ、作品鑑賞の導入に大変効果があった。

養護学校(小学部) □アートかるた
A文字札の文章がユーモアがあって面白かった。暗い色調の絵が少し見づらかった。

四日市市(中2)  □アートかるた □マッチングゲーム □あなたに贈るこの一作
Aかるたを導入にして取り組ませた。中2ではあるが、わきあいあいと楽しい雰囲気 で取り組み、学級日誌にも「盛り上がった」と書かれていた。「あなたに贈るこの一作」は、中学生として、じっくりと考えるのによかったと思われる。

度会郡(中2・3) □タイトルマッチ(他の人がつけた題名から、作品を当てる)
@最初は絵の具をぶちまけたぐちゃぐちゃの絵だと思っていたけど、今は奥がすごく深い、おもしろい絵だなあと思う。違う絵でもまたやりたい。

多気郡(中1)  □自分のお気に入りを探そう □アートかるた大会
@「絵を見るのも楽しいって発見した」「作品鑑賞のイメージが変わった」「美術館行くのが楽しみになった」などの声があった。
A各班かるた大会はかなり盛り上がり、机のまわりに立って(座ってる場合じゃないって感じで)楽しそうにやっていた。最後の、お気に入りの絵のスケッチも喜んで描いていた。「先生わかる?」と。他の学年でも、できればやりたいと思う。

松阪市(中2)  □作品の魅力を紹介しよう
@「自分たちで作品を選んだり、他の人の選んだ作品を紹介してもらって面白かった」
「学芸員の方にお話をしてもらえて、うれしかった」など。

桑名市(中1)  □不明
A今回は作品をじっくり見る練習という形でゲームを行った。作品を細かく見ることについて、興味をもってできる生徒が多かった。

津市 (中2)  □アートかるた
A学年で取り組んでいる、お年寄りの施設訪問での交流活動に使用した。


おわりに

16年度に入って間もない頃、5・6年生対象の社会見学の一つに美術館での団体鑑賞を計画し、下見に来られた鈴鹿市の先生に、スタンダードセットを紹介した。「こんなのがあるんですか!探してたんですよ」の言葉が発せられた。間もなく同校では、他の先生との協同による、スタンダードセットを活用した実践が行われた。「自分の部屋に飾るなら」、「ふろ場に飾るなら」、「プレゼントするなら」という条件で作品を選び、同じ作品を選んだメンバーが集まって相談し、その作品に題名を付けるという取り組みである。その後美術館に届けられた、5年生の子どもたちの声を紹介したい。

○1まいの絵なのに、みんな思ってることはちがって、ビックリした。ふつうは題があって、みんなが「そうだ、そういう題だ」って思うけど、自分が決める題だと、意見がちがうので、みんなが「そうだ、そういう題だ」と思えないのだということが、この2時間でよーく分かりました。反対の子もいればさんせいの子もいる。それは、(それぞれが)自分の意見・思ったことを大事にしてるんだと思います。でも意見を合わせることも大事だと思います。自分の言った題とちがっても、その題は、ちがう人が考えたすばらしい題だからです。

○部屋にかざる絵を決めたり、その絵の題名を決めたりして本当に楽しかったです。15番の絵の題名を決める時、Yちゃんが「ふさふさ」という言葉を使いたいと言って面白い題名にしたりしていたので、いろんな話し合いが出きました。それで、こういう話し合いって大切なんだなと思いました。またアートカードを見てみたいな!

○絵は人の心が現れることが分かった。作品をかいた人の願い、状きょう、想いなど、さまざまな種類がある。1つ1つの作品に心がこもっていると思う。今度は本物を見てみたい。


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