ヤマネ(Glirulus japonicus)
![]() ヤマネ(オス) ![]() 鋭いかぎ爪をもっています ![]() 背中には黒い筋が1本あります |
資料名 |
ヤマネ |
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学 名 | Glirulus japonicus | ||
資料番号 | Ma 501 | ||
分 類 | ネズミ目(げっ歯目) ヤマネ科 |
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性 別 | オス | ||
解 説 | 今回、紹介する資料は森に住むヤマネです。ヤマネというと、渓流に住む魚のヤマメと勘違いされることもあり、あまり知られていない動物のようです。ヤマネはネズミやリスと同じ、ネズミ目(齧歯目(げっしもく))のほ乳類です。体長6から8センチ、体重は14から40グラム程度の小さな生きものです。目の周りの毛が黒く、アイシャドウをしているように、目がクリッと大きく見えるため、とても愛らしい顔をしています。夜行性で生活のほとんどを樹上で過ごしています。そのため、樹上生活に適応した体つきをしています。ヤマネの手足は体の横から出ていて、木の幹をしっかりと抱えることができます。ツメは鋭く、かぎ爪になっています。さらに、太いふさふさした尾は、バランスをとるのに役立ちます。このため、ヤマネは枝を逆さまに歩いたり、垂直な幹をすばやく移動することができます。写真の標本資料からも、その鋭いツメを確認することができます。また、背中にある黒い筋は、月の光に照らされると枝の影とつながり、保護色の役目を果たします。まさに、ヤマネの体は夜の樹上で生活するのに適応しているのです。このようなヤマネは特定のねぐらを持たず、転々と場所を変えながら生活しているようです。冬の間、ヤマネは毛玉のように丸くなって冬眠をします。冬眠している間は、体温や心拍数を下げ、省エネをしながら眠ります。ヤマネは餌のない冬場を生き抜く仕組みをもっています。 ヤマネは日本固有種で、国の天然記念物に指定されています。本州や四国、九州、隠岐島後(おきどうご)※に生息しています。三重県では、津市美杉町、松阪市嬉野(旧一志郡嬉野町)、そして、多気郡大台町や尾鷲市、熊野市など台高山脈で生息が確認されています。これまでのところ鈴鹿山脈や布引山地での生息記録はなく、県内では雲出川以南の森林に生息していると思われます。 しかし、夜行性で小型であり、樹上生活するなど、発見しにくい条件が多いことから情報量があまりありません。生息している個体数が少ないのも事実で、三重県では絶滅危惧Ⅱ類に分類され、生息環境の悪化や個体数の減少から将来的に絶滅する危険性が高くなると心配されています。 (TM) ※ 島根県隠岐の群島中最大の島 |