ショウブ(Acorus calamus L.)
資料名 | 和名 ショウブ 学名 Acorus calamus L. |
分類 | 種子植物門 被子植物亜門 単子葉綱 サトイモ目 サトイモ科 ショウブ属 |
---|---|---|---|
資料番号 | 28289 | ||
採集日 | 平成7(1995)年9月2日 | ||
採集地 | 伊賀市(旧上野市) | ||
![]() ショウブの標本(館蔵品) |
解説 | ショウブは、池沼や川などの水辺の湿地帯で水深の浅いところに群がって自生する多年草です。東アジアの温帯から暖帯に広く分布しています。日本国内では、ほぼ全国で見ることができます。 根茎は、少し赤みを帯びた白色で、泥の中を横にはって伸び、多数の葉を伸ばします。葉は、長さ80cm、幅2cmの剣状で、中央に太い葉脈が1本あります。 5月から6月に葉と同じ形の花茎を伸ばし、途中から斜めに出た5cmほどの円柱状花穂に、淡い黄緑色の小さな花を密集させて咲かせます。 葉は、光沢があってよい香りがします。また、「刀」を連想させる形をしていることから、奈良時代から平安時代頃から縁起物として利用されていたようです。 束ねたショウブの葉や根茎を湯ぶねに浮かべる「菖蒲(しょうぶ)湯」は、端午(たんご)の節句の行事として江戸時代に始まったものです。浴室内に広がるよい香りは、葉や根茎に多く含まれているアサロンやオイゲノールなどの精油成分によるものです。また、鎮痛や血行促進、防虫などの薬効があることから、根茎が漢方薬(芳香健胃剤:ショウブコン)として利用されています。(K) |
|
ぷち情報 | |||
名前だけでなく葉の形まで似ていることから、「ハナショウブ」とまちがわれることがありますが、「ショウブ」と「ハナショウブ」は、全く別の植物です。 ショウブは、同じ仲間の「ミズバショウ」の花から白くて大きな花びら(苞といいます)を取り除いたような目立たない花を咲かせます。一方、ハナショウブは、「花の咲く菖蒲」という意味で名付けられたとおり、アヤメ科特有の華やかな花を咲かせて人々の目を引きつけますが、ショウブのようによい香りはしません。 なお、観賞用として「菖蒲園」などに植えられているハナショウブは、野生種を改良してつくり出された園芸品種で、ノハナショウブ(野に咲く花菖蒲という意味)が原種です。 写真のノハナショウブは、多気郡明和町斎宮の自生地のもので、全国的にも非常に貴重なことから、国の天然記念物に指定されています。 |
|||
![]() ショウブの花 撮影:青木繁伸(群馬県前橋市) |
![]() ノハナショウブ |