資料名 |
鼠族図譜(写本)
(そぞくずふ(しゃほん)) |
資料番号 |
- |
時 代 |
原資料:江戸時代(写本:昭和初期) |
寸 法 |
たて: 26.3センチ
よこ:114.2センチ |
解 説 |
新年、平成20年は子(ね、ネズミ)年です。年の瀬の街角や店頭の新年のカレンダーなどには愛らしいネズミの絵や写真が多く見られるようになりました。十二支の一番目にあたるネズミは、世界のどこでも普通にみられる小型のほ乳類で、日本ではネズミという呼び名のほかに、嫁、嫁が君、夜のものなどとも呼ばれていました。ネズミと人とのかかわりの歴史はかなり古く、食料や農作物などを食い荒らし病原菌を媒介する有害な動物、また、大黒天の使いや福をもたらすもの、変事や大火・地震などを予告する動物とも考えられ、歴史書や多くの物語、絵草紙などにその多様な姿が描かれています。
江戸時代になって、漢方医薬や博物学的な視点から諸国の物産を研究する本草学が盛んになると、ネズミの仲間は鼠属・鼠族などと呼ばれ、禽獣類の中のひとつの種類として分類され、本草学の書籍や図鑑類で紹介されるようになります。
今回ご紹介する『鼠族図譜』(写本)は、このような本草学の図鑑の一つとして江戸時代後期に活躍した水戸藩の本草学者 佐藤成裕(中陵)が著した原資料を、昭和初期に筆写して巻子本に仕立てたものです。この資料は、鼠族(=ネズミの仲間)のみについて書かれたもので、鼠族に分類されたネズミの仲間の呼び名・形態・性情・故事などを「鼠族」「鼠語」「群鼠」「鼠妖」「鼠変」などの項目に分け、中国・日本の書籍や自らの調査成果をもとに詳しく紹介すると共に、さまざまなネズミの仲間の姿形を動きのある詳細な彩色絵として掲載しています。
描かれたネズミの仲間は、「禮鼠」「老鼠」「貂」「黒貂」「南京白鼠」「(トラゲ)鼠」「」「」「鉄鼠」「小鼠」「苗鼠」「白鼠変出」「白鼠」「黄鼠」「(ケハリネズミ)」「鼬」「栗鼠」「(キノネズミ)」「水鼬」「」「鼠」と、小さなネズミから大きなものまで多岐に渡っています。中でも、「白鼠変出」として白黒の斑模様や薄茶色の体毛のネズミが7種類も描かれており、突然変異や種類の異なるネズミの交雑を示唆しています。
一方、現在の生物学的な分類では、ネズミ類はほ乳類の内で、ヤマネやリス・ヌートリアなどと共にネズミ目(げっ歯目)に分類されていますが、この資料には、現在ではネコ目(食肉目)に分類されているテンやイタチなども含まれており、江戸時代にはこれらも含めて鼠族と考えられていたようです。(SG)
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禮鼠 老鼠
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貂 貂
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貂 黒貂
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南京白鼠 トラゲ鼠 ハツカ鼠 鉄鼠 小鼠
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苗鼠 白鼠変出 白鼠変出
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白鼠変出 白鼠 ケハリ鼠(モグラ?)
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ケハリ鼠 鼬
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栗鼠 キノ鼠 水鼬
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テン鼠
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