シロチドリ(Charadrius alexandrinus)
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資料名 |
シロチドリ |
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学 名 | Charadrius alexandrinus | ||
資料番号 | 写真(上) AV-666(橋本コレクション) 写真(下) AV-170 |
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分 類 | チドリ目 チドリ科 |
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採集場所 | 津市 | ||
採集日 | 昭和25(1950)年9月18日 | ||
解 説 | 今回は、三重県の鳥として選定されているシロチドリをご紹介します。シロチドリは、北海道から沖縄までほぼ全国的に分布し、体長約16センチとスズメより少し大きいくらいの鳥です。砂浜や干潟を主な生活場所とし、東京湾や伊勢湾のような内湾に多く見られます。三重県内では、伊勢湾沿岸では普通に見られますが、熊野灘沿岸にはシロチドリの好む環境が少ないことから、ほとんど見ることができません。春先になると、シロチドリのオスは海岸や埋め立て地など、見通しの良い場所に巣を作ります。巣は砂地のくぼみに貝のかけらや小石を敷きつめた簡単なもので、普通3個の卵を産みます。ヒナや巣にイヌやヘビ、ヒトなどの外敵が近づくと、親鳥は怪我をして動けないようなまねをして、外敵の注意を自分に引きつけようとします。これは擬傷(ぎしょう)といいい、親鳥が自分をおとりにしてヒナを守るための行動です。写真(上)は擬傷(ぎしょう)行動をしている姿をはく製にしたものです。 三重県では、シロチドリは古くから詩歌に詠まれ、阿漕焼きのモチーフとされるなど「浜千鳥」の名で親しまれています。昭和47(1972)年6月20日には、県民投票で三重県の鳥として選ばれました。当時の選定基準をみると、「県民に親しまれやすいもの」で 「最近生息数が減少し、その回復が望まれるもの」とあります。シロチドリの本来の繁殖地は、海浜植物の繁殖する自然海岸です。当時このような環境が急速に失われつつあり、シロチドリの個体数が減少していたことが選定の背景となっているようです。 写真(下)は、昭和25(1950)年、今から57年前の9月18日に津市で捕獲された個体です。当時は、伊勢湾の海岸沿いにはたくさんの自然海岸があり、多くのシロチドリが繁殖していたのではないでしょうか。シロチドリが生息できる干潟や自然海岸を、いつの時代までも残していきたいものです (TM) |