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三重県総合博物館 > コレクション > スタッフのおすすめ > 北投石 Hokutolite

北投石 Hokutolite

資料名 北投石 Hokutolite 成分  (Ba,Pb)SO4
資料番号 RM00381 産地  秋田県 渋黒沢
 (現 秋田県仙北市田沢湖玉川温泉)
分類 硫酸塩鉱物(放射性鉱物) 結晶系  斜方晶系
寸法  3cm×3cm×2cm
解説 秋田県の北部、日本一深い湖である田沢湖のさらに北に玉川温泉があります。近年は温泉治療で有名となり、多くの人が集まるようになりましたが、以前は山中の湯治場(とうじば)でした。ここの温泉は多くの特徴があり、自然景観としても見るべきものがたくさんあります。「大噴(おおぶき)」といわれる源泉からは98℃の熱湯が毎分9,000ℓも流れ出して川となっています。その湯はpH1.2という強酸性で、下流の玉川の流れはこの温泉水が流れ込むおかげで「玉川毒水(たまがわどくすい)」といわれ、魚はほとんど見られません。(現在は、下流で石灰による中和が行われています)この源泉近くの湯の川の中に温泉沈殿物として形成される特殊な鉱物が「北投石(ほくとうせき)」です。
北投石は、秋田県の玉川温泉で明治31(1898)年に発見され、のちに台湾の北投温泉で見つかったことで「北投石」と命名されました。現在でも世界中でこの2か所の温泉と南米のチリでしか見つかっていません。主組成は重晶石(じゅうしょうせき・硫酸バリウム BaSO)と硫酸鉛鉱(りゅうさんえんこう・PbSO)で、その中に放射性元素であるラジウムなどを含む放射性鉱物です。温泉成分が表面に沈殿することで形成されるため、断面を見ると褐色と白色の層が縞(しま)模様をつくっています。その後の研究で、北投石は独立の鉱物種ではなく、重晶石と硫酸鉛鉱が明確な境界を持たずに混在するものとされ、鉱物名としては「含鉛重晶石(がんえんじゅうしょうせき)」といわれています。しかし、北投石の名は重晶石の亜種名として現在も使用されています。現在、「玉川温泉の北投石」は、国の特別天然記念物に指定されており、もちろん採集することはできません。(M)
北投石の表面

表面
玉川温泉の「大噴(おおぶき)」

玉川温泉の「大噴(おおぶき)」
北投石の断面

断面
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