ヘゴ(Cyathea spinulosa Wall.ex Hook )
資料名 | 和名 ヘゴ 学名 Cyathea spinulosa Wall.ex Hook |
分 類 | シダ植物 ヘゴ科 |
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産 地 | 三重県尾鷲市(尾鷲市中央公民館にて植栽) | ||
資料番号 | MPMP30640 | 採集年 | 昭和62(1987)年3月7日 |
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![]() ヘゴの仲間のヒカゲヘゴ 鹿児島県奄美大島金作原 ![]() 自生のヘゴ 鹿児島県上甑島 |
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解 説 | |||
シノブやフウランのように樹木や岩の表面に生育している植物を「着生植物」といい、このような植物を園芸目的で育てるときに、着生ベースとしてよく用いられる素材にヘゴ材があります。ヘゴ材は黒く硬い繊維が絡まった板状や棒状の素材です。実はヘゴとはシダ植物の名称で、園芸素材として用いられるヘゴ材は、ヘゴ類の幹にあたる部分を加工したものです。 「シダの幹」と書くと不思議な気もしますが、このシダは「木生シダ」といわれ、高さ・狽高フ幹が立ち上がり、その先端部に1メートルを超える葉を広げる姿はまるでヤシの木のようです。そして、このような木生シダは恐竜が生きていた時代の化石からもみつかるため、恐竜の復元図などに描かれることが多く、結果として木生シダが多く見られる沖縄などの樹林帯にはいると、恐竜がくらす原始の森に迷い込んだイメージを持つ人が多いようです。ちなみに、幹とは書きましたが正確には垂れ下がった根が茎をとりまいて硬い幹のように変質したものです。この硬く変質した根の部分を加工したものが園芸素材で用いられているヘゴ材になります。 ヘゴの分布は主に九州南部以南となっていますが、一部は八丈島や五島列島にも見られ、いくつかの場所では「ヘゴ自生北限地帯」として国の天然記念物に指定されています。三重県のヘゴ自生地は東紀州地域で数ヶ所から知られており、国内の自生地としては最北の地に位置しています。当館に収蔵されている資料はさく葉標本の状態ですが、その大きさから幹や葉の全体を標本とすることは困難であるため、葉の一部を標本として保存しています。 現在、三重県に自生するヘゴは「三重県レッドデータブック2005」で絶滅危惧ⅠA類にあげられており、最も絶滅が心配されているグループに入っています。そのため「三重県指定希少野生動植物種」として厳重な保護対策がとられています。 (M) |