ハツカネズミ(Mus musculus)
資料名 |
和名 ハツカネズミ 学名 Mus musculus |
分 類 |
ほ乳網 |
---|---|---|---|
採集年月日 | 平成8(1996)年1月14日 | ||
採集場所 | 津市中央 | 資料番号 | - |
解 説 | 今回ご紹介する資料は、ハツカネズミです。ハツカネズミはネズミ目ネズミ科に分類され、頭胴長(頭からしっぽの付け根までの長さ)が5~9センチ、尾長(しっぽの長さ)が4~8センチ、体重は9~23グラム程の小さなネズミです。 ハツカネズミと人との付き合いはとても古く、最古の記録は、紀元前1400年のポントス(小アジア)のネズミ崇拝の史実にまでさかのぼります。米などの穀物の栽培とともに全世界に分布を広げ、日本でも離島をふくめ全国各地で生息しています。ハツカネズミの生息場所は、水田から畑、草地、河川敷、荒地までさまざまですが、家屋や積みワラなど、人の生活環境を利用する個体もいます。 ハツカネズミの繁殖力は高く、妊娠期間20日間で、平均5~6匹の子どもを生みます。その子どもたちもまた、生まれて約2ヶ月後には、妊娠することができるようになります。野外に生息する個体では春と秋に繁殖期をもちますが、家屋内など、人に依存して生活している個体は1年中繁殖が可能であることが知られています。このように、ネズミが短期間で爆発的に増えることから、和算のねずみ算やねずみ講などの言葉が生まれたようです。 ハツカネズミというと白くて目が赤いイメージが一般的かもしれませんが、普通、野生のハツカネズミは、資料のように目は黒く、背中側の毛も薄い茶色をしています。白いハツカネズミはアルビノという、色素を持たない変異種です。ただし、ハツカネズミには多くの変異があり、白毛、茶毛、黒毛、ぶちなどさまざまな毛色の個体が存在します。日本や中国では、このような変異種をペットとして飼育していたという記録もあるようです。 また、近年では、ハツカネズミと人とのかかわり方は変化しています。たとえば、遺伝子工学や病理学などさまざまな研究分野での実験動物として「マウス」が利用されています。この「マウス」はハツカネズミを実験用に改良したものです。マウスのDNA塩基配列はすべて解読されており、驚くほどヒトに近いことがわかっています。これらのマウスは実験目的に応じて、さまざまな遺伝的特徴を持つ系統が生み出されています。 このように、ハツカネズミは古くから人と関わりあいの深い種であるといえます。 (TM) |
||
![]() |
|||
![]() |