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三重県総合博物館 > コレクション > スタッフのおすすめ > ベッコウトンボ

ベッコウトンボ(Libellula angelice (Selys

資料名 学名
Libellula angelice (Selys,1883)

和名
ベッコウトンボ

資料番号 トンボ62
分 類 トンボ目(蜻蛉目)
トンボ科
寸 法 A オス 体 長:45ミリ
     腹 長:33ミリ
     後翅長:36ミリ

B オス 体 長:43ミリ
     腹 長:30ミリ
     後翅長:35ミリ

C メス 体 長:40ミリ
     腹 長:27ミリ
     後翅長:34ミリ
採集日 A 平成4(1992)年5月1日
B 平成5(1993)年6月1日
C 平成4(1992)年5月1日
採集地 志摩市大王町(旧志摩郡大王町)船越
絶滅の
危険度
環境省   絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)
三重県   絶滅危惧ⅠA類(CR)
解 説

 ベッコウトンボは、低湿地のヨシやマコモが繁茂した池沼や湿地などに生息しています。成虫は、4月から6月にかけて、特に5月初旬ごろに多く見ることができます。アキアカネの成虫の期間と比べるとアキアカネが半年ほどに対してベッコウトンボは、1ヶ月ほどと、成虫の期間が短い種であるということができます。
 この種の特徴は、飴色の毛深い体に各翅の基部と中央結節および翅端に近い縁紋の部分に顕著な褐色斑があることです。羽化したばかりの未熟な個体は全身が明るい褐色をしていて、メスは翅の前縁が淡い飴色をしています。和名は、これをべっ甲色に見立ててつけられました。体色は成熟するにつれて濃さを増し、オスは黒に限りなく近い黒褐色(写真A・B)に、メスでは濃い茶褐色(写真C)になります。
 ベッコウトンボは、宮城県以南の本州と四国、九州、対馬、壱岐に分布しています。県内では、輪中で知られる桑名市長島町や伊勢平野の臨海湿原、伊賀盆地の溜池、志摩半島や紀北町海山区の池沼などに分布の記録があります。また朝鮮半島、中国北中部にも分布しています。
 しかし、桑名市長島町では、伊勢湾台風などの自然災害によって生息地が消滅したり、その他の地域では、池沼が埋め立てられたり水質の悪化によって1990年代後半以降の生息は確認されていません。平成17(2005)年に刊行された『三重県レッドデータブック2005』※1では「絶滅危惧ⅠA(CR)」に、また国のレッドデータブックでも「絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)」に分類されています。さらに、平成6(1994)年3月に「種の保存法」※2の「国内希少野生動植物種」の指定を受けていて、全国でも貴重な生きものになってしまった昆虫となっています。

※1 『三重県レッドデータブック2005』では、絶滅の危険性について絶滅(EX)・野生絶滅
   (EW)・絶滅危惧ⅠA類(CR)・絶滅危惧ⅠB類(EN)・絶滅危惧Ⅱ類(VU)・準絶
   滅危惧(NT)・情報不足(DD)の7つに分類しています。「ベッコウトンボ」は、極めて
   絶滅のおそれが高い種になることから絶滅危惧ⅠA(CR)に分類されています。

※2 「種の保存法」の正式名は、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」で、         
   平成5(1993)年4月から施行されています。

A ベッコウトンボ(オス)
A  ベッコウトンボ(オス)
B ベッコウトンボ(オス)
B  ベッコウトンボ(オス)
C ベッコウトンボ(メス)
C  ベッコウトンボ(メス)
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