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三重県総合博物館 > コレクション > スタッフのおすすめ > アケビコノハ

アケビコノハ(Eudocima tyranus

資料名  アケビコノハ

(写真1)アケビコノハ 生態写真:観察日2009年11月25日 津市広明町

 

(写真2)アケビコノハ 標本個体

学 名  Eudocima tyranus
分 類 昆虫網 チョウ目 ヤガ科
登録番号 In-003155
採集日 1997年10月8日
採集場所 伊賀市(旧上野市)法花
体 長 90mm
雌 雄 オス
解 説

平成21年11月25日の晴れた穏やかな日に、旧三重県立博物館の裏に積み上げられた枯れ枝上に落ち葉模様したアケビコノハを見ることが出来ました。アケビコノハは、前翅の表面を出して胴体を閉じこめるように静止していて人が近づき少しぐらいさわっても身動きもしません。

アケビコノハの前翅をよく見ると、落ち葉の葉脈を思わせる筋が見られ、色も落ち葉の茶褐色と少し黒ずんだ模様が絶妙な色彩となっています。これは、アケビコノハをとらえて食べようとする動物に分からなくするために、落ち葉を模したものと考えられています。このように、別のものの姿をまねることを擬態と言います。どのようにしてこの落ち葉模様を手に入れていったか不思議に思えてなりません。(写真1)

また、アケビコノハは、開張90mmになる比較的大型の蛾で、静止しているときは翅の前翅の表側しか見えませんが、前翅の裏側、後翅の表と裏側の模様は共通していて、黄色を基調に黒の斑紋と線状模様が見られます。これもよく見れば、目玉の模様にも見えるかもしれません。目玉の模様は、猛禽類の目に見えるため蛾類を捕食する鳥が嫌う模様として知られています。なおアケビコノハは、生きていくために巧みなしくみを持っている蛾なのです。そしてアケビコノハの頭部にも特徴があり、二俣に分かれた突起が見られ褐色の毛で覆われています。触角は、先へ行くほど細くなっている1本のヒゲ状になった蛾なのです。(写真2)

さて アケビコノハの種名は、コノハ模様の前翅をもち、また幼虫時期はアケビ類の葉を食べていることから由来しています。年2回発生して成虫のままで越冬します。国内では北海道・本州・四国・九州・対馬・南西諸島。海外ではアムール・中国・台湾・マレー・ボルネオ・スマトラ、ジャワ、インドに広く分布します。県内でも平地から低山地にかけて広く見られます。成虫は、夜行性でブドウ・モモなどの果実を強い口吻で孔をあけて、果汁を吸うため、農家にとっては、害虫となっています。また街灯の光にも集まることもあります。

このように身近に見られる蛾一つですので、冬の時期の雑木林で冬がれの木葉の間に身をかくしているアケビコノハを探してみてはいかがでしょうか。 (TI)

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