マメナシ(Pyrus caleryanal)
和 名 | マメナシ (別名イヌナシ) | ![]() 満開のマメナシ |
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学 名 | Pyrus caleryanal | |
資料番号 | - | |
分 類 | バラ科 ナシ属 | |
植栽年 | 昭和28年 | |
植栽本数 | 2本 | |
資料形態 | 植栽樹木 | |
解 説 |
サクラによく似たこの木こそが、東海地方周辺にまれに生育が知られているマメナシです。 マメナシは果物として知られるナシの仲間で、その果実が小さいことからこの名前があります。別名イヌナシとも呼ばれ、県内ではイヌナシの名前のほうがよく知られています。落葉高木で、4月に直径2.5cm程度の白い花を枝いっぱいに咲かせます。花とほぼ同時に出る葉は、広卵形から卵形でやがて長さ4~9cm、幅3~6cmまで広がります。葉の縁には鋸歯(きょし)と呼ばれるギザギザがあります。花が咲いた後にできる果実はほぼ球形で、大きさは直径1cm程度、小さいながらも表面にはナシ独特の皮目と呼ばれる斑紋が現れます。かじってみると渋みが強く、おいしいものではありません。 マメナシは日本・朝鮮・中国・ベトナム北部に分布していますが、日本国内では東海地方周辺部のみに生育しているという特徴があります。このため、同様の分布域をもつシデコブシ、シラタマホシクサなどとともに東海丘陵要素(周伊勢湾要素)植物と呼ばれています。生育地の環境は、里山やため池周辺のやや湿った場所ですが、里山周辺の耕地整理や宅地開発などの影響で生育数が減少しているため、現在、県内のほとんどの生育地が国や県・市町の天然記念物に指定されています。また、マメナシは県指定希少野生動植物種にも指定されています。中でも国指定の天然記念物である「東阿倉川イヌナシ自生地」(四日市市)は、明治35年にこの地で採集された標本を元に、日本の植物学の礎を築かれた牧野富太郎博士によってイヌナシと名づけられ、学会にはじめて発表された基準木がある場所です。なお、付近にはマメナシとヤマナシ(果物として栽培されるナシの原種)との交雑種であるアイナシ(P.×uyematsuana)があり、「西阿倉川アイナシ自生地」として国の天然記念物に指定されています。 桑名市多度町にある県指定天然記念物「多度のイヌナシ自生地」では、地域のみなさんとともにマメナシの保全活動が展開されています。(M) |
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![]() マメナシの花 |
![]() マメナシの果実 |