タテジマカミキリ(Aulaconotus pachypezoides (Thomson
資料名 |
タテジマカミキリ |
解 説 | 今回は、常緑樹のカクレミノの細い枝に、ぴったりと身を寄せて冬を越すタテジマカミキリを紹介します。 タテジマカミキリは、体長2cmほどですが、触角は体の2倍の長さがあります。背中にやや不鮮明な褐色と黒の縦縞模様があることから、この名前が付けられています。(写真1) 分布地域は広く、国外では中国、国内では本州・四国・九州・対馬が知られています、県内でも平地から低山地にかけての里山の雑木林、神社やお寺の境内の林などで見られます。こうしたところには、タテジマカミキリが食べる樹木であるウコギ科のカクレミノ、センノキ、ヤツデなどが生息しているためです。中でもカクレミノを好みます。カクレミノは社寺の境内で、よく見られる植物の1つです。 タテジマカミキリに出会うには、カクレミノの枝先が切り落されているところを目印に探します。タテジマカミキリの幼虫がカクレミノの幹の中心部を食べるため、幹の中央が空洞化し、枝が折れやすくなるためです。 タテジマカミキリの幼虫期間は3年ほどで、樹木の幹の中で蛹になって秋に羽化します。暖かい時期は、カクレミノなどの樹皮を食べて生活しています。気温が下がってくると、親指の太さほどのカクレミノの枝の表面をかじって浅い舟型のへこみをつくり、その中で越冬します。その方法は、体を下向きに密着させ、前脚と中脚をそろえてほぼ真横にまわし、枝をしっかり抱え込み、体長の2倍ほどもある触角をきちんとそろえて枝に沿わせるように前へ倒して動かなくなります。(写真2)越冬している状態のタテジマカミキリは、そっと触れても触角を左右にゆっくり振るだけで体を動かそうとしません。越冬中のタテジマカミキリを探すためには、目を凝らして見ないと見つけることが出来ません。カミキリムシの体の縦縞模様によって、枝の一部に融けこみ外敵にから発見されにくくしています。このように樹木の幹に似た模様をしていることを擬態と言います。タテジマカミキリは、巧みな生き方をしている昆虫なのです。(I) |
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学 名 | Aulaconotus pachypezoides Thomson, 1864 | ||
分 類 |
昆虫網 コウチュウ目 カミキリムシ科 |
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箱 番 | N-1 | ||
採集日 | 1993年12月30日 | ||
採集場所 |
三重県四日市市中野町 |
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性 別 | オス | ||
写真1 |
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写真2 | ![]() (写真2)カクレミノにつくタテジマカミキリ |