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三重県総合博物館 > コレクション > スタッフのおすすめ > アンハングエラ

アンハングエラ(Anhanguera piscator)

資料名  アンハングエラ全身骨格標本(複製) 登録番号  Fo1493
学 名  Anhanguera piscator 原標本 国立科学博物館所蔵
分 類  翼竜目
 
オルニソケイルス科
寸 法  翼開長5m
 頭骨60cm
時 代  中生代 白亜紀前期 (1億4550万年~9700万年前  
産 地  ブラジル セアラ州 アラリペ サンタナ累層   
解 説

恐竜が繁栄していた中生代。その大空を支配していたのは翼竜でした。しばしば「空を飛ぶ恐竜」と呼ばれることがありますが、恐竜ではなく、今から2億年以上も前に恐竜と共通の祖先から分かれて進化してきました。そして、脊椎動物として最初に空を飛ぶことに成功し、以後1億5000万年もの間、大空を支配してきましたが、6550万年前に恐竜とともに絶滅してしまいます。

翼竜はこれまでに多くの種類の化石が発見されていて、大きさも小鳥ぐらいから、小型飛行機ぐらいまで様々です。今回ご紹介するアンハングエラは、ブラジル、セアラ州のアラリペで発見された標本のレプリカです。アンハングエラという学名は、ブラジルの先住民トゥピ族の言葉で「年老いた悪魔」という意味だとされています。

本資料の翼開長(翼を広げた長さ)は約5・香A細長い頭骨は60cmもあり、胴体部分よりも長くなっています。口先には首長竜などと類似した上下に噛み合う、するどい歯をもっていることから魚食性であったと考えられます。海面近くを飛びながら、口先だけを水中に差し込んで魚を捕らえることができたようです。

翼竜の翼には鳥のような羽毛はなく、コウモリのような飛膜になっていました。ただし、コウモリの場合は前肢(前あし)の5本の指のうち、第1指(人でいう親指)以外の第2指から第5指が長く、この4本の指で飛膜を支えているのに対して、【写真3】翼竜の場合は第4指(人でいう薬指)1本だけが異様に長く伸びて飛膜を支えています。【写真4】したがって、第1指~第3指の3本の指は自由になっているので、物をつかむことができたと思われます。もう1点大きな違いは、翼竜には翼支骨(よくしこつ)という特有の骨【写真4】があって、この骨で翼を支え、飛行中の舵をとっていたようです。

アンハングエラは、足跡化石も多数発見されていて、その研究から地上では四足歩行をしていたことがわかっています。前肢は翼を支える長い第4指を後ろ向きに折りたたみ、短い第1指~第3指を使って歩いていたと思われます。その姿を想像すると、たいへんユニークで「年老いた悪魔」という名に反して、とてもかわいらしい感じがします。(HR)


【写真 アンハングエラ全身】
 
【写真2 アンハングエラ 頭部】 【写真3 キクガシラコウモリ】


【写真5 アンハングエラ 後肢】


【写真4 アンハングエラ 前肢】

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