オオセンチコガネ(Geotrupes auratus (Motschulsky
資料名 | オオセンチコガネ | 解 説 |
今回ご紹介するオオセンチコガネは、体長20mm前後のコガネムシの仲間です。写真のように美しい金属光沢の輝きを持った昆虫です。 東シベリア・朝鮮半島など東アジアに分布し、日本では北海道・本州・四国・九州・対馬・屋久島に分布しています。県内でも、低山地から山地にかけて広く見られますが、現在のところ布引山地では生息が記録されていません。 このオオセンチコガネは、色彩変異が豊富で、大きく3型(赤、緑、青)に分かれ まれに紫や茶色の個体も見られます。全国的には、近畿中央部に緑色、紀伊半島に青色、その他の地域に赤色を基調とした個体が分布しています。 このため県内でも地域によって異なる色彩の個体が見られます。養老山系から鈴鹿山系、伊賀市北部にかけては、滋賀県南部から京都府山科盆地南東部とともに近畿中央部の緑型の分布域にあたり、緑色系の個体が分布していますが、さらに御在所岳付近を境として、北側には【写真1】のような赤色が濃い金赤緑色、南側では【写真2】のように緑色の強い金緑色のものが多く見られます。 一方、【写真3】の個体のような青型(藍色から藍緑色)は、大台、大杉などの三峰・台高山系や志摩半島の山地にかけて分布し、さらに奈良県と和歌山県にかけて青色を基調とする紀伊半島の分布域を形成しています。 このようにオオセンチコガネは、地域色のある昆虫なのです。しかし同じ種でありながら、このように地域によって色彩が異なっている理由については、まだはっきり分かっていません。 オオセンチコガネの成虫は、春から晩秋まで活動し、主に糞をエサとしています。このため和名に使われている「センチ」はトイレの古語である雪隠(せっちん)からきています。ファーブルの『昆虫記』で有名な、スカラベ(ふんころがし)と同じ仲間なのです。動物の糞のほか、動物の死がいなどにも集まります。 産卵期は秋で、糞の下に深い穴を掘り、その穴に糞を詰めて産卵し、生まれた幼虫はその糞を食べて成長します。山の中で宝石のように美しく輝く昆虫ですが、意外な食べ物に驚きですね。(!) |
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学 名 |
Geotrupes auratus Motschulsky, 1857 |
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分 類 |
昆虫網 コウチュウ目 コガネムシ科 |
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資料番号 | 箱番 鞘翅目12 | ||
資料1 | 産地 三重県いなべ市藤原町山口 採集年 2006年9月19日 性別 メス(写真1) |
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資料2 | 産地 三重県亀山市野登山 採集年 1996年9月2日 性別 オス(写真2) |
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資料3 | 産地 三重県多気郡宮川村薗 (現在の三重県多気郡大台町薗) 採集年 2000年7月28日 性別 オス(写真3) |
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写真1 (金赤緑色個体) |
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写真2 (金緑色個体) |
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写真3 (青型個体) |
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