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コレクション展 物語る美術 出品作品リスト

2011年2月26日(土)- 3月27日(日) 

 1.描かれた物語T-西洋の美術-

 西洋の美術において繰り返し描かれてきた物語といえば、まずはギリシア神話と旧約聖書・新約聖書が挙げられるでしょう。古代ギリシア・ローマの彫刻を見れば神話に登場する神々の姿がそこにあり、中世の教会堂を彩るステンドグラスは文字の読めない人々にキリスト教を教える役割も持っていました。
 13世紀末以降、イタリアを中心としてヨーロッパではルネサンス(文芸復興運動)がおこります。16世紀初めには、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロらが登場し、ルネサンス美術は最盛期を迎えます。「最後の晩餐」、「天地創造」、「聖母子」・・・私たち日本人もよく知っている彼らの作品もまた、宗教や神話をテーマとしています。
 その後も宗教画や神話画は描かれ続けますが、例えば聖人の姿がルネサンス期のように理想的な姿ではなく、バロック期には生活感あふれる庶民の姿で描かれたりするなど、時代や地域によってさまざまに変化をしていきました。
 西洋の美術には、宗教や神話のほかにも、古代史や寓意をテーマとした絵画があり、これらを総称して歴史画といいます。歴史画の背景には必ず何らかの物語があり、その主題を「読む」ことで絵画をより深く理解し味わうことができるのです。ここに展示される作品にはどのような物語が隠されているでしょうか。

作者名 作品名 制作年 材料 寸法(p) 寄贈者
ムリーリョ、バルトロメ・エステバン アレクサンドリアの聖カタリナ 1645-50年頃 油彩・キャンバス 165×112  
作者不詳 聖ロクス(ロック) 17世紀 油彩・キャンバス 175×107 有川一三氏寄贈
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ アルベルト・フォラステールの肖像 1804年頃 油彩・キャンバス 45.9×37.5 (財)岡田文化財団寄贈
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 戦争の惨禍  全80点より6点 1810-20年 エッチング他・紙 16×23.5他  
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 版画集『妄(諺)』(第8版)18点より4点 1815-24年
出版:1930年
銅版・紙 24.4×35.5
(紙38×56)
 
ブレイク、ウィリアム 「ヨブ記」 全22点より8点 1825年 エッチング・紙 21.5×16.8  
ブレスダン、ロドルフ 鹿のいる聖母子 1871-78年 リトグラフ・紙(エッチングによる原画を転写) 25.1×19.9  
ブレスダン、ロドルフ 死の喜劇 1854年 リトグラフ・紙 22×15.2  
ブレスダン、ロドルフ 善きサマリア人 1861年 リトグラフ・紙 56.4×44.4  
ルドン、オディロン ヨハネ黙示録  12点+表紙より6点 1899年 リトグラフ・紙 26.5×23.7他  
ルドン、オディロン ベアトリーチェ 1897年 リトグラフ・紙 33.5×29.5  
ルドン、オディロン アレゴリー−太陽によって赤く染められたのではない赤い木 1905年 油彩・キャンバス 46×35.5  
ルオー、ジョルジュ キリスト磔刑 1939年頃 油彩・紙(キャンバスで裏貼) 62.7×47.1 (財)岡田文化財団寄贈
ドーミエ、オノレ 『古代史』より「征服者メネラオス」 1841年 リトグラフ・紙 33.2×24.6  
ドーミエ、オノレ 『古代史』より「ペネロペの夜」 1842年 リトグラフ・紙 33.2×24.6  
ドーミエ、オノレ 『古代史』より「ヘレネの略奪」 1842年 リトグラフ・紙 33.2×24.6  
ドーミエ、オノレ 『古代史』より「うるわしのナルキッソス」 1842年 リトグラフ・紙 33.2×24.6  
ドーミエ、オノレ 『古代史』より「アキレウスの洗礼」 1842年 リトグラフ・紙 33.2×24.6  
ドーミエ、オノレ 『古代史』より「捨てられたアリアドネ」 1842年 リトグラフ・紙 33.2×24.6  
ドーミエ、オノレ 『古代史』より「アペレスとカンパステ」 1842年 リトグラフ・紙 33.2×24.6  
ドーミエ、オノレ 『古代史』より「オイディプスとスフィンクス」 1842年 リトグラフ・紙 33.2×24.6  
ドーミエ、オノレ 『古代史』より「サッポーの死」 1843年 リトグラフ・紙 33.2×24.6  
ドーミエ、オノレ 『古代史』より「イカロスの墜落」 1842年 リトグラフ・紙 33.2×24.6  

 

2.描かれた物語U-日本の美術-

 日本の美術史を紐解くと、やはりそこには物語が深く関係しています。仏教説話や文学の場面を抜き出して絵画化したものを「物語絵」とよび、物語絵はひろく親しまれてきました。
 『源氏物語』の第17帖「絵合(えあわせ)」では、帝の御前で絵を批評しあう物語絵合が繰り広げられますが、そこに多くの絵巻物の名前が登場します。ただし、平安時代前期から中期にかけての作例は現存せず、どのような絵巻物が制作されていたかははっきりとわかりません。平安時代末期の12世紀のものが現存最古の例とされ、よく知られた《源氏物語絵巻》や《信貴山縁起絵巻》などがあります。
 絵巻物はその後、短編の絵入り物語である御伽草子に受け継がれ、庶民にも楽しまれるものになっていきました。「一寸法師」や「浦島太郎」など現代まで伝えられる昔話の原型です。
 このほか、中国の故事や和歌、謡曲など文芸を下地とした美術作品も数多く存在します。例えば、江戸時代の曾我蕭白の作品は一種異様な雰囲気さえ漂う独創的なものに見えますが、塞翁や周茂叔など故事に登場する人物が描かれ、物語が顔を見せています。こうした作品の背景には、作り手の側だけでなく、鑑賞者の側にも厚い文化的素養が育まれていたことが垣間見えます。

作者名 作品名 制作年 材料 寸法 寄贈者
曾我蕭白 周茂叔愛蓮図 制作年不詳 紙本墨画 111×52  
曾我蕭白 許由巣父図襖  4面 1767(明和4)年頃 紙本墨画 各172×86 (財)岡田文化財団寄贈
曾我蕭白 塞翁飼馬・簫史吹簫図屏風 1758(宝暦9)年頃 紙本墨画 各155×338  
月僊 西王母図 1770(明和7)年 絹本着色 73.9×30.1 旧小津家寄贈
月僊 東方朔図 制作年不詳 絹本着色 109.7×62.5 旧小津家寄贈
歌川広重 丸清版・隷書東海道五十三次  全55点より「日本橋」 1847-51(弘化4-嘉永4)年頃 木版・紙 21.3×24.3 UFJ銀行寄贈
歌川広重 丸清版・隷書東海道五十三次  全55点より「大磯」 1847-51(弘化4-嘉永4)年頃 木版・紙 21.3×24.3 UFJ銀行寄贈
歌川広重 丸清版・隷書東海道五十三次  全55点より「箱根」 1847-51(弘化4-嘉永4)年頃 木版・紙 21.3×24.3 UFJ銀行寄贈
歌川広重 丸清版・隷書東海道五十三次  全55点より「岡部」 1847-51(弘化4-嘉永4)年頃 木版・紙 21.3×24.3 UFJ銀行寄贈
歌川広重 丸清版・隷書東海道五十三次  全55点より「日阪」 1847-51(弘化4-嘉永4)年頃 木版・紙 21.3×24.3 UFJ銀行寄贈
歌川広重 丸清版・隷書東海道五十三次  全55点より「二川」 1847-51(弘化4-嘉永4)年頃 木版・紙 21.3×24.3 UFJ銀行寄贈
歌川広重 丸清版・隷書東海道五十三次  全55点より「岡崎」 1847-51(弘化4-嘉永4)年頃 木版・紙 21.3×24.3 UFJ銀行寄贈
歌川広重 丸清版・隷書東海道五十三次  全55点より「桑名」 1847-51(弘化4-嘉永4)年頃 木版・紙 21.3×24.3 UFJ銀行寄贈
歌川広重 丸清版・隷書東海道五十三次  全55点より「四日市」 1847-51(弘化4-嘉永4)年頃 木版・紙 21.3×24.3 UFJ銀行寄贈
歌川広重 丸清版・隷書東海道五十三次  全55点より「京」 1847-51(弘化4-嘉永4)年頃 木版・紙 21.3×24.3 UFJ銀行寄贈
安田靫彦 鈴屋翁 1932(昭和7)年 絹本着色 47.5×56 (財)岡田文化財団寄贈
安田靫彦 小倉の山 1930(昭和5)年 絹本着色 142×42  
高松次郎 『版画集 国生み』より「がらんどうがあった」 1984(昭和59)年 シルクスクリーン・紙 45×61  
高松次郎 『版画集 国生み』より「火の誕生」 1984(昭和59)年 シルクスクリーン・紙 45×61  
高松次郎 『版画集 国生み』より「ある日、火の山のふもとの若者に、一首の歌がとどく」 1984(昭和59)年 シルクスクリーン・紙 45×61  
高松次郎 『版画集 国生み』より「わだつみのいろこのみや」 1984(昭和59)年 シルクスクリーン・紙 45×61  
高松次郎 『版画集 国生み』より「内はひろびろ、外はきゅうくつ」 1984(昭和59)年 シルクスクリーン・紙 45×61  
高松次郎 『版画集 国生み』より「ヤマタノオロチ」 1984(昭和59)年 シルクスクリーン・紙 45×61  
高松次郎 『版画集 国生み』より「雲の波、そして天の浮き橋」 1984(昭和59)年 シルクスクリーン・紙 45×61  

 

3.画家の織りなす物語 -挿絵・詩の世界-

 ここからは、画家たちが手がけた本の挿絵や、画家の手による詩など、美術と文学の交差を見ていきましょう。
 聖書の教えをわかりやすく伝えるための教会堂のステンドグラスや、絵と詞書きが一体化した絵巻物など、古くから文章と視覚イメージは結びついて発展してきました。こうしたことから、画家が挿絵を手がけることは当然のことのように思われがちですが、長らく本の挿絵は専門の職人が制作することが一般的で、西洋では19世紀ロマン主義の時代になってドラクロワなどの画家が本の世界に登場するようになりました。
 20世紀になると、ヴォラール、テリアード、スキラなどの画商や出版者たちの依頼を受け、画家たちが手がける豪華挿絵本「リーヴル・ダルティスト」(Livres d’artistes)」の世界は黄金期を迎えます。ピカソ、マティス、シャガールといった20世紀の巨匠たちは、挿絵となる版画を制作し、ときには自ら文章を書き、数多くの美しい本を完成させました。
 同じ頃、明治末から大正時代の日本では、『明星』、『方寸』、『白樺』などの美術文芸雑誌が次々と刊行され、文学と美術は共鳴しあいます。藤島武二が『明星』の表紙や挿絵をきっかけとして与謝野晶子『みだれ髪』(新詩社、明治34年)の装幀を手がけたように、雑誌を舞台に美術家と文学者が交流を深めたことは、この時代の特色といえるでしょう。

作者名 作品名 制作年 材料 寸法 寄贈者
マイヨール、アリスティード 『ダフニスとクロエ』挿絵、本 1937年 木版・紙 21×13.9  
ヴラマンク、モーリス・ド 『辺境伯』挿絵本 ル・ビアン著 1955年 木版・紙 24×18.8  
ヴラマンク、モーリス・ド 『無告の民』 挿絵本 ジョルジュ・デュアメル著 1927年 リトグラフ・紙/エッチング・紙 29.2×4.3  
ルオー、ジョルジュ 『受難(パッション)』アンドレ・シュアレス著 より12点 1935-36年(1939公刊) シュガー・アクアティント、アクアティント(多色), 木口木版・紙 44.5×33.5(紙寸)  
スタンラン、アレクサンドル+バリュリオ、ポール ジル・ブラス紙挿絵  全150点より6点 1891-94年 写真凸版・紙 40.7×28.3  
村山槐多 詩『紫の天の戦慄』1 1914(大正3)年 墨・紙 23.1×31.7 (財)岡田文化財団寄贈
村山槐多 詩『紫の天の戦慄』2 1914(大正3)年 墨・紙 23.1×31.7 (財)岡田文化財団寄贈
村山槐多 自画像 1916(大正5)年 油彩・キャンバス 60.5×50  
村山槐多 詩『つばき』  1917(大正6)年 インク・紙 16.7×20.9 (財)岡田文化財団寄贈
村山槐多 詩『深夜の耳』 1917(大正6)年 インク・紙 19.9×15.3 (財)岡田文化財団寄贈
村山槐多 詩『どうぞ裸になって下さい』 1917(大正6)年 インク・紙 16.7×20.9 (財)岡田文化財団寄贈
村山槐多 詩(赤いびろうど・・・)  1918(大正7)年 インク・紙 16.7×20.9 (財)岡田文化財団寄贈
村山槐多 詩(血が私の口から滴り・・・)  1918(大正7)年 鉛筆・紙 16.7×20.9 (財)岡田文化財団寄贈
村山槐多 詩(火花の様に飛んではねて・・・) 1918(大正7)年 インク・紙 14.5×20 (財)岡田文化財団寄贈
村山槐多 詩(ぶどうの房のごとく・・・) 1918(大正7)年 インク・紙 15.2×20 (財)岡田文化財団寄贈
村山槐多 詩(どこで生れ、いつ生れ・・・) 1918(大正7)年 インク・紙 16.8×20.9 (財)岡田文化財団寄贈
村山槐多 詩(櫻の花が咲いた・・・)  1918(大正7)年 インク・紙 17×20.9 (財)岡田文化財団寄贈
恩地孝四郎 あさあけ 1914年(大正3)年 1989年恩地邦郎摺 木版・紙 20.2×13.7  
恩地孝四郎 そらにかかるもの 1914年(大正3)年 1989年恩地邦郎摺 木版・紙 13.5×10.9  
恩地孝四郎 死によりてあげらるる生 1914年(大正3)年 1989年恩地邦郎摺 木版・紙 12.4×10.4  
恩地孝四郎 抒情 I 1914年(大正3)年 1989年恩地邦郎摺 木版・紙 13.3×10.9  
恩地孝四郎 抒情・あかるい時 1915年(大正4)年 1989年恩地邦郎摺 木版・紙 13.3×9.7  
恩地孝四郎 抒情・躍る 1915年(大正4)年 1989年恩地邦郎摺 木版・紙 13.3×9.8  
恩地孝四郎 『氷島』の著者 萩原朔太郎像 1943(昭和18)年 (1987年再刷) 木版・紙 55.4×44  
恩地孝四郎 『とんぼの眼玉』の著者 北原白秋像 1943(昭和18)年 木版・紙 56×44  
山口薫 富永惣一著『美と感覚』表紙原画 1956(昭和31)年 水彩・紙 6.8×6.4 ほか  

 

4.わたしだけの物語 -何を紡ぎだしますか?-

 ここまで、神話や聖書、あるいは伝承や文学作品を題材とした美術作品を見てきました。時代、地域や作り手の違いにより、実に多様な表現がなされていることを感じていただけたことでしょう。しかし、美術作品と物語の間にあるのは作り手の存在だけでなく、鑑賞者の存在もあるということを忘れてはならないでしょう。鑑賞者であるわたしたちが自らの想像力を働かせ、美術作品と物語とが織りなす豊かな世界へと分け入ることで、そこに生き生きとした新たなストーリーが紡ぎだされていくのです。
 ここに展示されている作品には、一切の説明をつけていません。作品の背景には、何かの物語が隠されているかもしれませんし、あるいは何もないのかもしれません。今ここにあるのは、鑑賞者であるわたしたちのイマジネーションだけだとしたら・・・
 −さて、あなたは何を紡ぎだしますか?−

作者名 作品名 制作年 材料 寸法 寄贈者
ムンク、エドヴァルド 窓辺の少女 1894年 エッチング、ドライポイント・紙 20×14.3  
ムンク、エドヴァルド 差し向い(下宿での逢引き) 1895年 エッチング、ドライポイント・紙 20.3×30.9  
ムンク、エドヴァルド 二人:孤独な人たち 1895年 エッチング、ドライポイント・紙 15.7×21.2  
ムンク、エドヴァルド その翌朝 1895年 エッチング、ドライポイント・紙 19.2×27.5  
ムンク、エドヴァルド 病める少女 1894年 エッチング、 ドライポイント・紙 35.7×27  
ムンク、エドヴァルド 月光 1895年 エッチング、 ドライポイント・紙 30.8×25.4  
カンディンスキー、ワシリー 版画集 『小さな世界』 全12点より8点 1922年 木版、 リトグラフ、ドライポイント・紙 35.5×28他  
ダリ、サルバドール パッラーディオのタリア柱廊 1937-38年 油彩・キャンバス 116×88.5  
ミロ、ジョアン アルバム13  全17点より7点 1948年 リトグラフ・紙 56×45  
シャガール、マルク 版画集「サーカス」 全38点より6点 1967年 リトグラフ・紙 42×32, 42×64 (財)岡田文化財団寄贈
シャガール、マルク 1956-62年 油彩・キャンバス 150×120 (財)岡田文化財団寄贈
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