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ごあいさつ

フランス社会が爛熟の極に達した柑世紀末葉,その科学的な合理主義,産業かもたらした物質文明,自然主義を拒否して,内奥の夢とはるかな幻想の世界に逃避しようとする芸術が生まれました。ギエスターヴ・モロー(1826−1898)は,オディロン・ルドン,ピュヴィス・ド・シャヴァンヌとならんで,この象徴主義を代表する偉大な芸術家であります。

その宝石のような色彩と優美な線に飾られた作品は.高踏派,象徴派からマルセル・プルースト さらにはアンドレ・ブルトンにいたる多くの詩人,文学者をひきつけてきましたが,モローはまた,ルオー,マティスをはじめ20世紀美術を切りひらく画家たちに西欧絵画の高い理想をつたえる優れた教師でもありました。

目に見えぬ,想像力の世界にささげられたモローの芸術は,直接に今世紀の芸術変革を予言するものとして,近年ますます評価を高めています。けれどもそれは,偉大な西欧芸術の伝統,とりわけ19世紀前半のロマン派の精神に深く根ざしたものでもありました。

本展覧会は,このモローの傑作60余点に,シャセリオー,フロマンタン,エリー・ドローネーなど彼の友人たち,ルオー,デヴァリエール,ピオなど彼の精神を受けつぐ弟子たち,そしてルドン,シャヴァンヌ,クノップフなど象徴派の作品70 余点をくわえて,モロー芸術の魅惑の世界をフランス象徴主義絵画の系譜の中に位置づけようとする日本で最初の意義深い企画といえましょう。

本展開催にあたり貴重な作品を快く御出品下さいました内外の各美術館,所蔵家の方々,また惜しみない御協力を賜わりました関係各位,とりわけ本展組織委員として終始御尽力いただきましたモロー研究家・美術史家ピエール=ルイ・マチュー氏およびパリ,オルセ美術館ジュヌヴィエーヴ・ラカンブル女史に対し,ここに心からの謝意を表するものであります。

1984年9月

主催者

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