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かめやま美術館開館15周年記念企画展

近代の風景画――三重県立美術館所蔵品展

会場

かめやま美術館

〒519-0168 亀山市太岡寺町1170 
電話0595-83-1238 
http://www.kameyama-anzen.co.jp/bunka/museum/museum.html

 

会期

2008年10月15日(水)から12月14日(日)
午前10時から午後5時30分まで(入館は5時まで)

休館日: 毎週月・火曜日(祝日は開館)

  

入場料

大人 500円(450円)
高・大学生 400円(350円)
小・中学生 300円(250円)

()内は15名以上の団体料金

 

主催等

主催:カシオペアの会・かめやま美術館
共催:三重県立美術館

 

お問い合わせは、
    かめやま美術館(電話0595−83−1238)まで

 

◎入場者数 768名

かめやま美術館開館15周年記念企画展 会場風景1

かめやま美術館開館15周年記念企画展 会場風景2

かめやま美術館開館15周年記念企画展 会場風景3

かめやま美術館開館15周年記念企画展 会場風景4

 

出品目録+ガイド

no. 作者名 生没年 作品名 制作年 材料 寸法(cm)
1 フォンタネージ、アントニオ 1818-1882 沼の落日 1876-78年頃 油彩・キャンバス 39.5×61.0
1876(明治9)年から2年間、イタリアの画家フォンタネージは日本初の美術学校である工部美術学校で教鞭をとりました。教え子には浅井忠、山本芳翠、五姓田義松らがいます。ヨーロッパのアカデミックな美術家養成教育がこの時日本に導入されたのです。本作品は滞日中に制作されたもので、「A.Fontanesi Tokio 29 AU□□(判読不能:agosto(8月)ないしaprile(4月)か?)」と記されています。日が暮れようとする時間をほぼモノトーンで浸し、それを左の樹とそちらに向かう舟との対話が支えています。ロマン主義やバルビゾン派を彷彿とさせる骨格の作品です。
2 藤島武二 1867-1943 浜辺 1898(明治31)年 油彩・板 23.5×32.5
津で教師として勤めたこともある藤島は、黒田清輝らによって導入された外光派的な写実から、色彩による装飾的な構成に重点を移行させた画家です。本作品では、板の手応えを確かめるかのように素早く走る筆致が、舟の影や海の青、遠景の緑との対比によって、海辺の光の明るさや空気の動きをとらえています。なお画面右下には「親愛なるナガハラへ」と記されています(画家の長原孝太郎のことです)。
3 鈴木金平 1896-1978 島田風景 1913(大正2)年 油彩・キャンバス 53.1×45.7
四日市に生まれた鈴木は、第1回ヒュウザン会展(1912)に参加するなどしていましたが、とりわけ1915(大正4)年に出会った中村彝に深い影響を受けました。10代の頃に描かれた本作品は静岡県の島田を描いたもので、印象派の摂取がうかがわれます。筆致は律儀ですが、主調をなす緑に対し、左中と下中央のオレンジをアクセントにするなどの工夫がなされています。
4 飯田三吾 1900-1965 風景 1919(大正8)年 油彩・キャンバス 45.9×61.3
四日市に生まれた飯田は、1922(大正11)年大正期の新興美術運動を担うグループの一つ「アクション」の創立に参加した画家です。やはり10代の頃に制作された本作品は印象主義やフォーヴィスムの影響をうかがわせ、律儀な筆致ながら、グレーの影とオレンジの光の当たった部分との対比によって、光の明るさと反映をとらえています。
5 中川一政 1893-1991 目黒風景 1923(大正12)年 油彩・キャンバス 45.5×53.0
中川は1915(大正4)年草土舎の創立に参加、岸田劉生の影響下に画歴を始めましたが、1940年代以降は、厚塗り、激しい色彩と動きを特徴とする作風を確立しました。ただ本作品は草土舎風のスタイルとも後年の画風とも異なり、薄塗りによって景色をとらえています。白地を透かした褐色と空の対比や斜めに傾いだ視角が重苦しいわけではないけれど、しかし爽快ともいえない独特の雰囲気を伝えます。また青やオレンジ、褐色の線がぽわっとひろがる褐色等を引きしめています。
6 萬鐵五郎 1885-1927 枯れ木の風景 1924(大正13)年 油彩・キャンバス 33.0×45.0
ヒュウザン会などを舞台に活動した萬は、フォーヴィスムやキュビスムといったヨーロッパの前衛を摂取する一方で、文人画にも深い関心を寄せました。その意味で日本の近代を体現する画家といえるかもしれません。本作品でも、褐色と緑を対比させた色彩構成にキュビスムの記憶を潜ませつつ、木や草むらを描きだす粗放とも見える筆致は、水墨画の伝統を連想させることでしょう。しかしそれが、薄塗りと相まって、画面に気どりのない瞬発性をもたらしています。
7 海老原喜之助 1904-1970 森と群鳥 1932(昭和7)年 油彩・キャンバス 73.5×100
鹿児島生まれの海老原は、19歳の時藤田嗣治宛の紹介状を手に渡仏しました。本作品が制作されたのは滞仏9年目で、この時期青と白を基調に冬景色を描き続けていました。色や形の単純化は海老原の一貫した出発点ですが、湿り気のない筆致で描かれた雪山の最前景に配された時間が止まったかのような鳥たちの姿は、左下の小さな人間たちと相まって、見る者の距離感や時間の感覚に奇妙に現実離れした感触をもたらさずにいません。
8 麻生三郎 1913-2000 夕日 1943(昭和18)年 油彩・板 15.9×23.5
戦前から活動していた麻生は、とりわけ人間像を中心に、写実を基本にしながらも人間のイメージと周囲の空間がほの暗い色調の内で見分けがたいほど溶けあうという独自の作風を確立した画家です。本作品では、画面上半の明度は決して暗くはないのですが、下半の黒のざわめくような筆致、グレーの日輪、かすかな陽光の反映をしめす赤と干渉しあうことで、濃密な切迫感をかもしだしています。
9 岩中徳次郎 1897-1989 1956(昭和31)年 油彩・キャンバス 116×90.4
岩中は和歌山県の生まれで、後に阿児町鵜方に移り住みました。本作品は幾何学的抽象の作風を確立する以前の作品で、第二次大戦後ヨーロッパから到来した最初の動向であるサロン・ド・メ系の半抽象からの如実な影響をしめしています。いくつもの船が浮かぶ港の眺めを、明るい水色の線で図面のように分解する一方、全体は微妙に変化する濃青色の色調に浸され、抒情的な雰囲気をかもしだしています。
10 桂ゆき 1913-1991 作品 1958(昭和33)年 油彩・キャンバス 120×82.0
戦前の桂が制作したコルクのコラージュは、当時の前衛的傾向にあってもきわめて急進的な作品でしたが、その後の作品は一方でコラージュ的な性格を保ちつつ、持ち前の画力を活かしてユーモアを帯びたイメージを紡ぐというものでした。この作品でもうろのあいた木の幹のようなイメージは、粘りのある筆致によって流動感を帯び、生きもののような肌触りを感じさせています。
11 香月泰男 1911-1974 芒原 1968(昭和43)年 油彩・キャンバス 91.1×60.7
山口県三隅町出身の香月は、1930年代から緊迫感に満ちた具象を制作していましたが、1945年から47年までシベリアに抑留され、そこでの体験が後に「シベリア・シリーズ」を生みだすことになりました。本作品では、左上に並ぶ短い斜線が風の動きを読みとらせるにもかかわらず、それらを左上に寄せたこと、稠密で厚い絵肌、暗い色調によって、何かが封じられたかのような沈鬱さを感じさせます。
12 浅野弥衛 1914-1996 作品 1977(昭和52)年 油彩・キャンバス 65.0×91.0
鈴鹿に生まれ生涯を鈴鹿で暮らした浅野は、白ないし黒の地をとがったもので引っかいた線が、時に自在に、時に規則的に走る作風で知られています。本作品は純粋な抽象ではありますが、斜めに並ぶ鋭く軽快な線が、そこに風が渡るかのような息づきを感じさせずにいません。他方稠密な白地は、風の動きをその場にとどめているかのようです。
13 小林研三 1924-2001 コルマーにて 1978-87(昭和53-62)年 油彩・キャンバス 65.5×91.0
四日市に生まれ、後に桑名で生涯を過ごした小林は、身近な生きものや田園を童話的な幻想として描いた画家です。コルマー(ル)はフランスとドイツの国境地域、アルザス地方の町で、そのウンターリンデン博物館には有名なグリューネヴァルトのイーゼンハイム祭壇画が所蔵されています。もっともグリューネヴァルトの激しさとは対照的に、本作品は静謐さに浸されています。地平線を高くとり、わずかに変化するけぶった緑が思い出のような雰囲気を感じさせる中、下辺から顔を出す白い家が景観をさらに奥へ追いやります。
14 宮崎進 1922- 風景 1982(昭和57)年 油彩・キャンバス 73.0×91.0
山口県徳山市に生まれた宮崎は、香月泰男同様シベリア抑留を経験しており、それが後の展開に影を落としています。1967年に安井賞を受賞しながら、同じ作風に安住することをよしとせず、新たな作風を模索しました。本作品は、粗布などをコラージュした近年の作風を確立する直前のもので、一見抽象的な画面に見えますが、色の区切りがたがいに浸透しあうことによって、鈍い光に浸された自然の息づきを感じとらせずにいません。
15 中谷泰 1909-1993 段丘 1984(昭和59)年 油彩・キャンバス 117×80.3
松阪に生まれた中谷は、モダニズムの洗礼を受けながらもそれを咀嚼した温厚な写実によって、静物や風景、また炭坑とそこでの労働者などを描きました。本作品は晩年に近い時期のもので、性急さを感じさせない筆致が、不定型な雪景色を穏やかな調和で統一しています。この調和はまた、斜線による網の目としても織りなされています。
16 エッシャー、M.C. 1898-1972 メタモルフォーシス II 1939-40 木版・紙 19.5×400
エッシャーは、現実にはありえないけれど、紙の上でだけ実現するイメージを描いたオランダの版画家です。この作品でも、文字が市松模様を経て、とかげや蜂、魚、鳥から水辺の街、チェス盤へと幾何学的なパターンをはさみつつ、魔術のように連続して移り変わっていき、最後に文字に回帰します。「メタモルフォーシス」とは「転形」や「変身」を意味しますが、ここでは世界そのものが転変の相を本質とすることがしめされているかのようです。
17 鹿子木孟郎 1874-1941 倶録喜(画帖) 制作年不詳 鉛筆他・紙 31.0×41.0
鹿子木は1901(明治34)年からパリでジャン=ポール・ローランスに師事することで、黒田清輝らの外光派系の洋画とは異なる、より古典主義的な西洋画法を日本に根づかせようとした画家です。それに先だって1896(明治29)年から99年まで、藤島武二に続き、津の三重県尋常中学校で図画教諭をつとめました。「倶録喜」はフランス語「クロッキー」の音訳です。素描40点の内に1916年の年記を持つ作品が数点含まれており、この前後に制作された素描を集めたものと思われます。人物や風景、裸体習作、群像などが描かれています。
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